本記事は、応用物理学会発行の機関誌『応用物理』、第87巻、第4号に掲載されたものの抜粋です。全文を閲覧するには応用物理学会の会員登録が必要です。会員登録に関して詳しくはこちらから(応用物理学会のホームページへのリンク)。全文を閲覧するにはこちらから(応用物理学会のホームページ内、当該記事へのリンク)。『応用物理』の最新号はこちら(各号の概要は会員登録なしで閲覧いただけます)。

1.まえがき

 物理現象を理解しそれを工学的に利用する応用物理学会があるように、動物や昆虫の行動などを理解しそれを利用する応用動物昆虫学の学会がある。筆者らも会員である日本応用動物昆虫学会は会員が2000人余りで、昆虫や鳥などの動物を研究対象とし、特に植物保護、人を含む動物防疫における有害動物、害虫管理、環境保全、および昆虫利用などに関わる基礎と応用研究を行っている1)。本稿では害虫管理の観点から、両学会の接点について光の側面からアプローチし、応用物理学の1つの適用先として紹介したい。

 「害虫」とは、カやダニといった人体を対象としたり、ガの幼虫などの衣類・食物・農作物などを食害したりする虫のことをいう。中でも農耕の歴史は害虫との戦いの歴史でもあり、餓死者100万人ともいわれた享保17年(1732年)の大凶作は日本における最も悲惨な害虫被害ともいわれる。その後、各地で虫送り行事が行われるようになり、使われた松たい明まつは虫を集める効果を示したともいわれる2)。「飛んで火に入る夏の虫」と古くからいわれるように、少なくとも江戸時代には虫の行動が光で制御され、利用されていたと思われる。

 松明やかがり火、行灯(あんどん)が光源であった江戸時代、明治中期からは石油ランプ、大正時代からは白熱灯がそれぞれ誘蛾灯として虫を集める光源として使われていた。とくれば、本誌の読者は発光ダイオード(Light-EmittingDiode:LED)が現在の光源となっているであろうと容易に想起されると思う。

 まさにそのとおりで、LEDの単色性や輝度の高さから、光と虫の行動の関係に関する理解については、近年、実験的に大きく進展している。さらに、廉価で扱いやすい製品も多く流通したことで、応用物理学以外の利用分野においても手軽に扱えるようになり、結果としてその応用研究も盛んとなって現場における導入も始まっている。

 本稿では、光と昆虫の行動の関係について第2章で述べ、その応用例を第3章で紹介し、最後に害虫防除における最新動向を紹介しながら光の役割について触れる。

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