本記事は、エレクトロニクス実装学会発行の機関紙「エレクトロニクス実装学会誌」Vol.22 No.2 pp.153-157に掲載された「大面積ナノインプリント技術とその応用」の抜粋です。全文を閲覧するにはエレクトロニクス実装学会の会員登録が必要です。会員登録、当該記事の閲覧は、エレクトロニクス実装学会のホームページからお進みください。

1. はじめに

1.1 ナノインプリントの原理

 ナノインプリントは簡便に微細な構造を形成できるナノテクノロジーとして1995 年にChou 氏が報告して以来1)、急激に発展し、現在ではナノインプリント用の装置や樹脂、モールドを購入できる市場環境が日米欧韓などで整備されるに至った2)

 図1はナノインプリントの原理を示している。ナノインプリントでは被加工材料として熱可塑性樹脂と光硬化性樹脂が主に用いられ、それぞれ熱ナノインプリント法と光ナノインプリント法で成形される。熱ナノインプリントでは樹脂を加熱後にモールドをプレスし、剥離することで樹脂表面に微細構造を転写形成する。プロセスが単純でさまざまな樹脂材料を使用できることが特徴である。光ナノインプリントでは、粘度が数mPa・sと水のようなサラサラな光硬化性樹脂を用いる。モールドに樹脂が充填された後、紫外線を照射して樹脂を光硬化させ、モールドを剥離することで樹脂表面に微細な構造を転写形成する。樹脂の粘度が低いためにモールドの微細孔に樹脂が侵入しやすいため極微小な構造を形成しやすいとともに加熱工程がないことから基材の熱膨張を抑制でき、精緻な構造形成が可能である。ただし、光硬化性樹脂を用いる必要があるため、樹脂材料の汎用性に欠ける。

図1. ナノインプリントの原理
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1.2 大面積化への課題

 ナノインプリントに用いられるモールドはシリコンウエハに半導体リソグラフィ法や電子ビーム露光法で造形されることが多いため、造形面積は半導体チップと同等の20mm角から30mm角程度と小さい。ナノインプリントの半導体応用では、その程度の面積で問題ないが、本稿で対象としている“大面積ナノインプリント”では、転写面積を拡大するために、大判のモールドを作成するか転写プロセスを工夫することになる。

 転写面積の拡大に伴い、プレス工程では転写圧力の増大や大面積を均一にプレスする機械的な工夫が必要となる。そのため、小さなモールドを繰り返し押印するステップ&リピート方式やロール型による線状加圧が装置技術として重要となる。また、剥離工程においては大面積化に伴い剥離面積が増えるため、基板とモールドを一気に剥離することは困難となり、端から徐々に剥離していく離型機構も重要である。

 本稿ではナノインプリントの大面積化に関して、転写方式に関して簡単に紹介する。

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