イントランスHRMソリューションズ 代表取締役 竹村孝宏氏

 組織やチームにおいて、リーダーとメンバーがさまざまなコミュニケーション手段により互いの意思疎通ができれば、その組織のベクトルがそろって組織が活性化していきます。効果的な意思疎通による組織活性化のためには、コミュニケーション「スキル」の習得に目がいきがちですが、コミュニケーション「量」の影響力も大きいといえます。

 リーダーとメンバーとのコミュニケーション量は、ただ話す時間を増やすだけでは、組織活性度を高めることにつながりません。コミュニケーション量とは、単に時間の長さや頻度ではなく、メンバーが「リーダーが自分のために時間をとってくれた」と感じる時間です。メンバーは、リーダーと過ごす時間が自分のためなのか、リーダー自身のためなのかを敏感に感じ取っているのです。

 では、どうすればメンバーがそう感じるのでしょうか。そのための有効な手段が「1 on 1ミーティング」です。1 on 1ミーティングとは、定期的にリーダーとメンバーが1対1で対話し、メンバーに気づきを促すことで、個人の能力を引き出すためのミーティングです。期ごとの目標を設定してリーダーとメンバーが共有する「目標設定面談」や進捗のフィードバック、次期の目標や課題を話し合う「評価面談」とは異なります。

 1 on 1ミーティングは、頻度は週に1回で時間は30~60分程度、形式は特に定めず、日々の業務での成果や失敗についてメンバーから自由に話をしてもらいます。議題については、事前に内容をメールなどで共有するとよいでしょう。

1 on 1ミーティングの効果

 1 on 1ミーティングを実施することで、次のような効果を期待できます。

[1]コミュニケーションのきっかけになる

 メンバーと何を話したらよいのだろうか。いつも本音を話してくれていない気がする。コミュニケーションが重要なことは分かっているけれど、きっかけが見つからない…。こうしたリーダーは多いのではないでしょうか。

 1 on 1ミーティングは、定期的に対話する機会を設ける制度です。この制度をきっかけにして、コミュニケーションの頻度を増やせるのはメリットの1つです。

[2]メンバーの育成を促進する

 人は、自分で経験したことが最も身につきます。しかし、経験しただけでは時間がたてば、すぐに忘れてしまいます。

 1 on 1ミーティングで定期的に話し合う中で、メンバーは「自分がどうして失敗したのか」、「成功したポイントは何だったのか」を振り返り、自分が経験したことを確実に身に付けることができます。

[3]目標達成状況に合わせた働き掛けができる

 定期的に1 on 1を行うことでメンバーの目標達成状況を把握し、リーダーが進捗状況に合わせて、タイムリーに働き掛けることができます。そのため、目標に対するずれや遅れのフォローを迅速に行うことが可能です。

 メンバーも早めに指摘されることで、対策を講じることができます。その結果、メンバーが目標を達成できれば、リーダーへの信頼も深まることでしょう。

[4]適材適所で業務の効率化を実現できる

 対話を通じて、メンバーについていろいろなことを知ることができます。日常業務以外についても話が及んでいけば、個々のメンバーが例えば「Aさんは他部署で生かせるスキルを持っている」、「Bさんは退社後は資格取得のために勉強している」、「Cさんは将来やりたいことが明確になっている」などといったことが分かってきます。

 目先の業務だけではなく、将来のキャリア・ビジョンについても話し合い、適材適所を実現する。これにより、メンバーの能力ややる気を引き出し、業務の効率化を実現できます。

[5]社員の離職率を低減できる

 業務以外のことでメンバーが悩みを抱えているかどうかは、現場を見ているだけではなかなか把握できないものです。リーダーとメンバーの関係が良好になれば、メンバーからリーダーへプライベートの悩みを相談しやすくなります。職場や業務に関する不満だけではなく、介護や育児の悩みなどについて話し合うことで、離職につながるリスクを回避することができます。

 リーダーとメンバーのコミュニケーションが活発になれば信頼関係が高まり、職場の雰囲気が良くなります。職場の雰囲気が良くなれば、居心地の良い職場となり、社員が辞めにくい組織になります。

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