イントランスHRMソリューションズ 代表取締役 竹村孝宏氏

 上手な話し方や聞き方などの「伝えるスキル」は、仕事をする上で大変有効なスキルです。しかし、スキルだけで対処しようとすると、相手から「自分をコントロールしようとしているのでは?」と警戒されてしまい、意図が伝わらなくなってしまうことがあります。

 伝達力の本質を知るためには、デール・カーネギーの著書「人を動かす」の中の「人に好かれる六原則」が参考になります。

 「人に好かれる六原則」とは、次の6つの方法です。

[1]誠実な関心を寄せる
[2]笑顔を忘れない
[3]名前を覚える
[4]聞き手にまわる
[5]関心のありかを見抜く
[6]心から褒める

カーネギーの「人に好かれる6原則」

 人は誰でも、嫌いな人の話や自分とは関係ないと思う人の話を聞きたいとは思いません。相手に動いてもらうためには、相手に好かれていることが重要な要素の1つになります。

[1]誠実な関心を寄せる

 人は本来、自分が一番好きで、自分に最も関心があります。ですから、自分に関心を持ってくれる人は好きになります。従って、相手の関心を引こうとするよりも相手に関心を寄せることが大切です。

 あなたの部下があなたの苦手なタイプだったとします。その場合、「縁があって、今一緒に働いてくれている。だから、自分から関心をもって接しよう」と考えて、行動してみましょう。部下が「上司が自分のことを考えてくれている」と感じれば、あなたの伝えることを受け入れてくれるようになるはずです。

 リーダーは自分のチームのメンバーに積極的に関わっていく必要があります。自分から笑顔で挨拶をして部下に声を掛けたり、毎日1つだけ部下に質問してみたりするなど、小さなことでも構いません。こうした行動がとても大切なことです。

[2]笑顔を忘れない

 笑顔は表情の1つであり、表情は非言語コミュニケーションの代表的な手段です。話し手が聞き手に与える影響力について提唱した「メラビアンの法則」があります。相手にメッセージを伝えるときの重要度は、話の内容が7%、話し方などが38%、見た目やボディランゲージが55%であるという法則です。人は言葉だけではなく、非言語コミュニケーションを重要な判断基準にしているということです。

 話す内容だけではなく、話し方やボディランゲージにも意識を向けましょう。リーダーが笑顔で挨拶を続ければ、メンバーも笑顔を向けてくれるようになるはずです。

[3]名前を覚える

 人は自分の名前の響きが言葉の中で最も心地良くて重要と感じます。生まれるとすぐに名前が付けられて、繰り返しその言葉を掛けられ続けているので、そう感じるのも不思議ではありません。

 ある会社の工場長は、500人いた社員の名前を全てフルネームで覚えて、必ず名前を呼んで話し掛けるようにしていたそうです。ただ名前を呼ぶだけのことですが、呼ばれた社員にとってはとても嬉しいことで、仕事上の悩みや課題を積極的に話してくれるようになったそうです。

 名前を呼ばれることで、好意的な気持ちを感じる人は多いはずです。名前で話し掛けることは、

 「私はあなたの存在をちゃんと認めています」というメッセージを伝えることでもあるのです。