イントランスHRMソリューションズ 代表取締役 竹村孝宏氏

 言われたことだけを言われた通りにするだけ。先を読んで段取りを考えることはない。うまくいかないときには他人のせいにする──。あなたはこんなふうに考えていませんか。

 チームが良い結果を出すためには、メンバー全員がそれぞれ責任を負わなければなりません。職場には緊張感が必要で、それがなければ人は育ちません。しかし、互いに気を遣いすぎて、言いたいことが言えないような緊張感が強すぎる職場は問題です。緊張しすぎることは、人の成長を妨げてしまいます。

 緊張とパフォーマンスの関係については、「ヤーキーズ・ドットソンの法則」という考え方があります。

ヤーキーズ・ドットソンの法則とは

 1908年に心理学者のロバート・ヤーキーズとJ.D.ドットソンは、ネズミを使った実験を通じて、緊張(ストレス)とパフォーマンス(生産性)に関する法則を発見しました。

 その実験は、黒と白の目印を見分けるようにネズミを訓練し、区別を間違えたら電気ショックを与えて学習を促す、というものです。電気ショックが強くなるに従って正答率は増すものの、ある強さを上回ると正答率が低下することが分かりました。すなわち、電気ショックの強度が適切なときにはネズミは早く区別を学習し、電気ショックが強すぎたり弱すぎたりすると、学習に支障が出るということです。

 この結果は、人にも当てはまります。人は、緊張すると脳内にアドレナリンが分泌して集中力がアップします。しかし、緊張感が高くなりすぎると、プレッシャーが強すぎて集中力は低下します。適度な緊張感があるときに最大のパフォーマンスを発揮することができるのです。

 例えば、学生にとってストレス(緊張感)になるのはテストです。でもテストがなければ、多くの学生は勉強しないでしょう。テストがあるからこそ、良い成績を取るために必死に勉強して、自らの能力を伸ばしていくことができるといえます。しかし、テストがあまりに厳しすぎるとやる気を失ってしまいます。

 ある程度の強さの緊張感は、集中力を向上させて良い効果をもたらします。しかし、限度を超えた緊張感は、パフォーマンスを悪化させてしまうのです。