イントランスHRMソリューションズ 代表取締役 竹村孝宏氏

 「好きだけど嫌い」、「尊敬しているけど軽蔑もしている」、「かわいいけどいじめたい」、「見たいけど見たくない」、「行きたいけど行きたくない」…。人は心の中に「前向きな気持ち」と「後ろ向きな気持ち」という相反する気持ちを同時に持つことがあります。

 この心理状態を「アンビバレンス(ambivalence)心理」と呼びます。アンビバレンスとは、同じ対象に相反する感情を同時に持ったり交互に抱いたりすることで、「両面感情」とも言われています。

 アンビバレンスの強くなっている相手に何かを強要すると、正反対の行動をとることがあります。例えば、親に「勉強しなさい」と言われて子供がやる気をなくしてしまう、というのもこのアンビバレンス心理が影響しています。

 人の心の中には、「A」という「前向きな気持ち」と「not A」という「後ろ向きな気持ち」が同時に存在することがあります。そして、この矛盾する気持ちの間で人の心は揺れているのです。

 組織の中で、誰が考えても良いことであっても反対する人がいます。でも、反対する人の後ろ向きな言動をその場で否定したり説得したりしようとすると、相手は余計に意地になったり、かたくなになったりして悪循環に陥ってしまうことがあります。

 「人は皆、矛盾する気持ちの中で心が揺れているのだ」ということを理解してコミュニケーションをとれるかどうかで、仕事の進み方や成果が違ってきます。