[3]他者依存段階

 他者の立場に立って思考できるようにはなったものの、自分の意見や価値観が未完成の段階です。自らの意思決定の基準がなく、組織や社会などの他者の基準で自分の行動を決定します。この段階は、成人の約70%を占めると言われています。

 第2段階の利己的な自分の世界から抜け出し、他者の視点で考えられるようになった段階です。

 この段階の問題は、他者の意見がなければ行動できなかったり、自分の頭では考えずにこれまでの慣習に従って行動してしまったりすることです。しかし、現在のビジネスシーンでは「指示待ち人間」は、お荷物でしかありません。

 次の第4段階に進むためには、自分の欲求や関心をより高次元にしていく必要があります。自分に対しては、所属する組織のあり方や仕事のやり方の改善について自分が考えていることをノートに書き出したり、周りの人に伝えたりすることから始めてみましょう。

 相手に対してならば、意見や仕事のやり方について、「○○さんはどう思う?」や「この部分は○○さんに任せるよ」などと、その相手が自ら考えるきっかけをつくるようなアプローチから始めるのが効果的です。

[4]自己主導段階

 他人の価値観も認め、自分なりの価値観や意思決定基準を持ち、自律的に行動できる段階です。自分の成長にも強い関心があり、自分の意思を明確に主張するという特徴があります。成人の20%に見られます。

 この段階の問題は、「自分のルール」が出来上がってしまい、「自分が正しい」という思い込みが強くなり、他人の意見を受け入れられなくなることです。

 この段階にいる人は、これまで自分が行ってきた仕事を「棚卸し」すべきです。これまで取り組んできた仕事を振り返れば、周りの人が自分を支えてきてくれたことに気づいたり、自分のやり方の未熟さや間違いに気づいたりすることができます。「自分の考えは正しい」と思い込んでいることが、必ずしもそうではないことを実感できれば、自分のルールにも柔軟性を持つことができるようになります。

[5]自己変容段階

 自分の価値観や意見にとらわれることなく、他者の多様な価値観をくみ取りながら、意思決定できる段階です。

 必要に応じて自分のルールを絶えず更新し、常に新しい価値観や仕事のやり方を実践して、自分の成長のみならず、他者の成長にも関心を持っているので、部下を育てるのに適した段階だと言えます。この段階は最高到達点であり、成人の1%程度と言われています。

 この段階の人は、自分というものを何か確固たるものとして持っているのではなく、時間や環境によって変化するものであると捉えています。また他者を自分の成長にとって必要不可欠な存在だと考えているので、他者の成長に対しても積極的に取り組むことができるのです。

 成人発達理論では、自分よりも上の意識段階を理解できないと言われています。すなわち、第1段階の人は第2段階以上の人の考えを理解できません。でも第5段階になれば、第1段階から第4段階の人の考えを理解できるということです。発達段階が高くなればなるほど、認識できる世界が広がるのです。

 皆さんの意識段階はどの段階でしょうか。大切なのは自分を知り、相手を知ることです。現状と目指す方向が分かれば、成長するための道筋が見えてくるはずです。

 意識が成長すれば、視野が広がり、物事の深みや機微を認識できるようになります。
成人発達段階を意識して、自らが成長するとともに相手の成長を促すアプローチができれば、
組織の抜本的な意識改革を実現することができるはずです。