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イントランスHRMソリューションズ 代表取締役 竹村孝宏
 

 「アイツはいつまでたっても成長しないな」、「いつも自分の仕事しかやらない『自己チュー』な奴だ」、「行き当たりばったりの指示の上司に振り回されてばかり」、「『決まりだから』と言うばかりで、まるで自分の意志がない上司だ」などなど…。

 こうした身近な人にイライラすることはありませんか。

 「大人になっても意識が幼い人」がいる一方で、「年齢は若いのに妙に大人びている人」がいます。それは個人の性格やパーソナリティーではなく、成人してから後の意識の発達段階の違いが原因です。

 米ハーバード大学ロバート・キーガン教授が「成人発達理論」を提唱しています。成人発達理論は、人の知性や能力は一生をかけて成長を遂げていくと考え、人の成長プロセスやメカニズムを解明する 学問です。同教授は、成人発達理論を次の5つに分類しています。

[1]具体的思考段階:具体的な物事は思考できるが、抽象的な概念は扱えない。
[2]利己的段階:自己中心的な考え方で、自己の欲求や関心を満たすためには行動する。
[3]他者依存段階:相手の立場を理解できるが、自分の価値観が未完成。
[4]自己主導段階:自分の価値観が確立し、他者の価値観を理解して自律的に行動できる。
[5]自己変容段階:他者の価値観を取り入れ、持続的な自己変革ができる。

5つの成人発達段階と具体的なアプローチ

[1]具体的思考段階

 言葉を獲得したばかりの子どもの段階であり、成人であればこの段階は卒業しています。具体的な物事は思考できますが、抽象的な概念を扱うことができない段階です。

[2]利己的段階

 自分の関心事項や欲求を満たすことに焦点が当てられている段階です。他者の感情や思考を理解することが難しく、自分の欲求や感情を満たすために、他者を道具のように扱う傾向があります。この段階は中学生や思春期に多く見られますが、成人の10%程度にも見られます。

 自分が関心のある仕事にしか興味を示さず、それ以外の仕事には見向きもしない、という人はこの段階にあります。相手の立場で物事を考えることができないタイプです。

 この段階にいる人の課題は、「他者が自分をどう見ているのか」や「自分が関わると相手がどんな気持ちになるのか」ということを考えておらず、理解しようとしないことです。

 この段階の人が次の段階に向かうためには、他者の視点や意図を考える訓練を繰り返すことが必要です。自分がそうであるなら、「この仕事は、どんな目的で与えられたのだろう?」と自分に問い掛けてみるのです。相手がそうなら、同じ質問を相手に投げ掛けてみましょう。相手の立場に立って考える能力を養う必要があります。