竹村孝宏氏
イントランスHRMソリューションズ 代表取締役

 コミュニケーションは難しい。正しい主張でさえあれば気持ちが相手に伝わり、良い関係が築けるとは限らないからです。どうすればうまく互いの目的や目標を達成できるかを考えて進めていく必要があります。でも実際には、さまざまな事情から、思ったようにコミュニケーションが取れない状況に直面します。

 「これを言ったら気まずくなるな…」「本音を言ったら角が立つかも…」と、言いたいことを我慢して引っ込めてしまったことはありませんか。きっとそうした経験のある人が大半だろうと思います。しかし、少数派だとは思いますが、「自分の意見をどんどん伝える」という人もいます。そうした人はもめ事が多くトラブルにばかり見舞われいるかと思うと、さにあらず。気まずくなるどころか、好かれていたり優秀な人と評価されていたりすることがあります。

 自分が言いたいことをきちんと伝えて、相手に自然に受け入れてほしい。そんなときに役立つスキルが「DESC法」です。DESC法は相手に流されることなく、自分の主張や感情をうまく伝える方法です。自分の要望を伝えるときに、以下の4ステップで働き掛けることで、相手に提案を気持ちよく受け入れてもらうことができます。

  • [1]D(Describe):描写する
  • [2]E(Express):表現する
  • [3]S(Specify):提案する
  • [4]C(Choose):選択する

DESC法は言いたいことを言える技術

 それぞれのステップを順に見ていきましょう。

[1]D(Describe):描写する

 このステップでは、状況を具体的に話します。感情は入れずに、相手が共有できる客観的な事実を伝えなくてはなりません。互いに現実を共有し、目的や目標を達成するための共通基盤をつくることからスタートします。感情は抑えて、勝手な憶測や解釈ではなく、状況や事実を客観的にシンプルな言葉で表わすことがポイントです。

[2]E(Express):表現する

 次に、自分の意見や考え、気持ちを素直に伝えます。Describe(描写する)との区別をしっかりつけることがポイントです。ここでは、感情的になったり攻撃的になったりしないようにしましょう。相手を責めたくなったら、まずは冷静になる。そして、なぜ責めたい気持ちになったのかという原因を伝えるようにしましょう。

[3]S(Specify):提案する

 相手の行動に対し、自分の要望を満たす具体的な解決案を提案します。自分が何をどのようにサポートできるのかを相手の立場に立って提案するのです。命令や強制ではなく、提案をはっきり伝えます。提案は相手に選択権があります。相手に選択の余地を与える表現が原則です。

[4]C(Choose):選択する

 最後に、相手が提案を受け入れた場合と受け入れなかった場合の自分の行動を伝えて、相手に選択を促します。提案を受け入れてくれたら、「こんな良いことがある」ということを相手に伝えるようにしましょう。相手がNOと言ったときには、自分はどのような反応をするかを決めておくことで、安心感を持つことができます。

 自分の提案が同意されることも、反対されることもあることを認識しておき、それぞれへの対応策を考えておきましょう。