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高収益化支援家、弁理士 中村大介

 「このやり方が良いとは思えないんですよね」。

 改善活動に取り組むある企業の50歳代の男性役員がこう言いました。この会社を仮にA社とします。この言葉は、A社の社長とこの役員(Bさん)、そして私の3人で会議をしていたときのものです。

 A社では改善活動の1つとして、研究開発の方法を変えるための「勉強会」を実施していました。毎月テーマを決めて、特定の技術などについて、ある方式で勉強するものです。さまざまなクライアント企業で大きな効果を上げており、好評な方法の1つです。

 好評とはいえ、現状を変えようとする改善活動はどれも、最初から社員全員が全面賛成というわけではありません。何らかの改善活動を経験したことがある人には分かってもらえると思いますが、どんな改善活動にも反対というのはつきものです。改善を実施する立場からすれば、反対意見から学ぶこともあるというのはよく聞く話でしょう。

 反対意見というのは、往々にして、現状を変えたくない人から出されるように思います。そして、現状を変えたくない人はどの企業にも多く存在します。よく「2:6:2の法則」などと言いますが、これには変えたくない人が存在するという意味もあります。

 改善活動の中では比較的小さな取り組みである勉強会であっても反対意見は出ます。A社でも同様に、現状を変えたくないという人がいました。当然です。そのため、勉強会に参加するメンバーからそうした発言が出ることはある意味で当たり前で、改善のためにはそうした反対を乗り越えなければなりません。

 反対の理由を聞くと、Bさんはこう答えました。「勉強会に参加している一部のメンバーから『勉強会の負担が大きい』という声が上がっています。だから、私は最初から反対だったんですよ」。

 私は耳を疑いました。冒頭の通り、Bさんは役員です。役員と言えば、改善活動を推進する立場。にもかかわらず、社員が反対しているからという理由で、反対に回ってしまった。自分の強い意見があってというならまだしも、社員の意見が反対だからとは──。私は、それは筋が違うのではないかと思いました。

社長:君は反対意見なんだね。
Bさん:いいえ、反対というわけではありません。社員から負担が大きいという声が上がっているのです。
社長:反対ではない? では、勉強会をどう思うの?
Bさん:社員の負担が重いという声が上がっていますし、この方法が良いとは思えないんです。
私:では、どうしたら良いと思いますか?
Bさん:…。

 Bさんは黙ってしまいました。

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