日系企業の拠点戦略の変化は、各国への進出拠点数の変化からおおむね把握できる。しかし、日系企業がどの国にどれだけ拠点を進出しているかを正しく把握するのは難しい。発表されるさまざまな調査データには、調査によって数倍の開きがある。

 例えば、外務省が在外公館を通じて行っている「海外進出日系企業実態調査」で発表される進出企業数は、実際に登記されている企業数に比べて非常に少ない。では、登記簿上の企業数が正確かというと、それには既に撤退した企業や休眠中の企業なども含まれているため正しいとは言えない。さらに日系企業でも第三国から投資をしていれば日系企業にカウントされない。このように簡単に把握できそうでできないのが、各国への進出企業数なのだ。

在留邦人数で生産拠点戦略の変化が分かる

 そこで筆者は、各国の在留邦人数の推移を日系各社の海外拠点戦略の変化の1つの目安としている。進出企業数の推移を各国の在留邦人数の推移から推察している。拠点の数が増えたり規模が大きくなったりすれば、日本人の出向者は増えるなど、拠点数と在留邦人数は連動しているからである(在留届が適切に出されていないケースも無いとは言えないが)。

 図1の在留邦人数の推移グラフを見てわかるように、中国は2012年をピークに減少し続けている。世界の工場の終焉(しゅうえん)については以前に本連載でも記載した通りである。

 それに対して増え続けているのがASEANだ。2015年末に発足したAEC(ASEAN Economic Community:ASEAN経済共同体)では、ASEAN全体として単一市場・単一の生産拠点を目指すとともに、競争力のある経済地域、公平な経済発展、グローバル経済への統合を目的として掲げている。実際、6億2000万人の経済圏は、市場としても中国に代わる生産拠点としても重要な位置付けとなっている。

図1 国別および都市別の在留邦人数の推移
外務省の「海外在留邦人数調査統計」を基に筆者が作成した。
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