日本での品質不正の報道が後を絶たない。内部告発が当たり前になりつつあることを示しているとも言えるが、これだけ品質不正が続発するのは、日ごろから規格外れの製品が平気で造られてしまう現場になっていること、不良でも出荷してしまうコンプライアンス順守意識の低さの2つが根底にあると言える。今回は、日本での品質不正の背景と海外における品質不正を踏まえて、対応策の一端について述べたい。

想像以上に厳しい「D」

 もともと規格を満足する製品を製造できていれば品質不正などする必要はない。しかし、適切な品質管理ができていないと日常的に不良は発生する。加えて、不良にも関わらず出荷してしまう背景には、納期や業績への大きなプレッシャーがある。

 QCD(品質、コスト、納期)の文字の並びの通り、品質が最優先で、次にコスト、最後に納期というのが守るべき順番だが、現場の立場で見ると、D(納期)の責任に対するプレッシャーは非常に強く、「DCQ」にならざるを得ない。キャッシュフローの重要性が認識され、どの企業も最低限の在庫でものづくりをしており、特に部品メーカーであれば、納期の遅れは納入先である顧客の生産停止に直結するからだ。その損失は非稼働ロスだけにとどまらない。納入先の顧客への納入遅れ、さらには販売機会損失と共に納入先やその顧客からの信用をも失うことにもなる。部品メーカーならずとも、納期遅れは自社の売上未達、利益損失、顧客の信頼損失に直結する。品質が重要なことは分かっているが、納期は絶対に間に合わせなければならないというプレッシャーにさらされているのが現場なのだ。

 そのプレッシャーに負けて、納期を間に合わせるために、検査結果を改ざんして良品として出荷するという、あってはならない事態を繰り返している。そこには、納期に間に合わせるには不良品を修理したり生産し直したりしている工数も時間もないといった事情がある。たとえ工数を確保できそうでも、働き方改革が叫ばれる中で、手直しや不良対応の生産追加で長時間の残業をさせる訳にはいかない。そもそも、不良低減や生産性向上に向けた取り組みへの責任も厳しく問われているのが現実。そうなるとデータを改ざんして責任追及を免れたいと現場が思うのも、さもありなんというところだろう。

 しかし、だからと言って、現場が「不良品だろうが納品さえすればよい」と考えているかというとそんなことはない。組織的か個人的は別として、不正の多くは、「規格の上は不良でも実用上では問題ないだろう」という判断で行われているのが大半。もともと製品は使用環境の違いや使用条件を超えた使われ方を想定して、ある程度の余裕(安全率)を持って設計されている。従って規格を多少外れていても、実使用では問題無いというのも事実である。そのような場合、実用上は問題ないことを確認し、顧客に「特採(特別採用)願い」を出して購入してもらう場合もある。

 ところが、一連の不正問題では、手続きに時間がかかる、承認してもらえるか分からないからと、だまって出荷している。これは企業倫理に欠けた行動と言わざるを得ず、コンプライアンス違反として、企業の信用を著しく低下させている。

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