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図 日本・中国・ASEAN間の拠点移管の推移
移管対象は、販売・生産・研究開発・地域統括・物流機能すべて。〔出所:「JETRO 2017年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」 図表Ⅱ-34 日本・中国・ASEAN 間の移管パターン(全体、時系列)より〕

 グローバルでの経営環境の変化を踏まえて、いち早く拠点戦略の変更を打ち出している企業もあれば、経営が行き詰まってから見直している企業もある。

 最近の経営環境の大きな変化といえば、中国のそれだろう。10年前は世界の工場と言われた同国だが、毎年10%を超える人件費の高騰で、輸出拠点としての存続が難しくなったところが多い。実際、日本貿易振興機構(ジェトロ)が毎年行っている「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(2017年度版はこちら)の国内外拠点・機能の再編結果を見ると、2016年は「日本から中国への移管」より「中国から日本への移管」の方が多くなっている(図)。これは、「世界の工場」の終焉を示すものと言える。

 こうした経営環境の変化を踏まえ、中国からASEANへ拠点を移した企業は多い。中でも多い移転先がベトナムだ。人件費は中国と同様に高くなってきたものの、絶対額が中国よりも低く、高騰も落ち着いてきていることから、シフト先の受け皿となっている。

拠点再編には時間がかかる

 実際、環境変化を踏まえていち早く拠点をシフトした企業と、今ごろになって中国拠点の赤字対策にドタバタしている企業とでは、経営数値に大きな差が出ている。経営環境の変化に対して拠点の経営努力で対応できる範囲は限られている。拠点任せでは多くの場合、経営悪化を招く。

 グローバルの市場動向や環境変化が激しい以上、それに対応した拠点戦略の変更が必要不可欠だ。その際に認識しておくべきは、拠点の再編には時間がかかるということ。採算が悪化した輸出拠点の生産を他拠点に移すには、移管先の生産準備が必須。移管のための一時的な在庫積み増しも要る。顧客承認が必要なBtoBビジネスなら、その承認にも時間がかかる。拠点の完全撤退ということになれば、部分的な機能移管以上に時間が必要だし、新拠点の設立もすぐにはできない。

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