設計には2種類の業務が存在します。皆さんはこのことを理解しながら日々業務を行っているでしょうか。2種類の業務というのは、[1]機能設計と[2]生産設計です。これら2つの設計業務を行うことにより、市場や顧客ニーズから「製品の機能と性能を創造する」のが、機能設計です。そして、その機能設計で構想した内容を「ものという形にする」のが生産設計となります。

 これら2つの設計のあり方は、まさに設計の基本原理であり、日常業務の中で常に意識をしなければならないものです。設計の基本原理については、第1回のコラムでも説明しましたが、再度、説明しましょう。

 この設計の基本原理には、設計者が押さえておかなければならない重要な前提があります。それは、設計開発部門がどのような役割を担っているか、です。

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設計の基本原理
(出所:A&Mコンサルト)

設計開発部門の役割

 設計開発部門の役割は、「機能・方式・仕様」を決めることです。図面やBOM(部品表)はあくまでもアウトプットの1つに過ぎません。アウトプットを出すために創造しなければならないのは、機能・方式・仕様なのです。

 ここでまず気を付けなければならないのは、図面を作成するタイミングです。現在では図面を作成するのに、必ずと言ってよいほどCADを使用します。手描きで図面を作成することはまずないでしょう。問題は、顧客からの要求仕様や商品企画から企画書が来たらすぐにCADを操作して図面を作成し始める設計者が非常に多いことです。CADを操作しながら構想を重ね、図面を作成するのです。しかし、結果は修正の山。この仕事の進め方では、正しい図面を作成できないはずです。

 まさに、フロントローディングの逆を行っており、後から多くの修正を要する状態です。これは、本来の設計のあり方ではありません。

 構想を創造するために、わざわざ3D-CADできれいに図面を描く必要はないはずです。ポンチ絵をはじめ、どのような内容であっても、他人に伝わる絵さえ描ければ構想の検証はできます。CADの操作で図面を作成するのはできる限り遅らせます。図面を作成する前に完璧な構想を描いた上で、図面作成に取り掛かる。これにより、修正ややり直しのない図面を作成しましょう。CADの操作で修正ややり直しをすることはムダなのです。

 設計開発部門の役割に戻ると、機能・方式・仕様を決定するには、さまざまな部門から情報を集める必要があります。こうした情報を集約・整理して製品を構想するのが、まさに設計開発部門の役割なのです。製造業では設計開発部門に多くの情報が集約されます。従って、設計開発部門は会社の中で中心的な部門とならなければなりません。この前提を押さえた上で、設計者は機能設計と生産設計を進めていくのです。

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