「企業は人なり」とはよく言ったものです。職業柄、さまざまなクライアント企業を訪問する中で、いろいろな設計者に出会います。しかし、同じ職種であっても、設計者の意識や考え方はさまざまです。

 例えば、コストに対する意識。現場や顧客に近ければ近いほどコスト意識は高まります。従って、顧客から遠い上流部門に位置する研究者は一般に、コストをほとんど意識していません。コストを意識するよりも、目指す機能や性能を実現することの方が優先です。そのため、コストを意識しながら業務を実行することは難しいのです。

[画像のクリックで拡大表示]

 しかし、顧客から近い下流部門にある量産設計部門は、そうした意識ではいけません。先行開発部門から受け継いだコア技術を量産化するためにどのような構造にすべきか。また、そのときのコストや生産性をどうすべきかといったように、さまざまなことを意識する必要があります。

 設計者は、QCD(品質、コスト、納期)が関わる内容を全て意識しなければなりません。しかし、新人のうちにQCDの全てを意識することは難しいでしょう。皆さんにも経験があると思いますが、品質を高めようとするとコストが上がる。コストを下げようとすると品質が下がります。この相反する条件下において、妥協点をどのように見いだすか。この点に関する意識を、設計者はぜひとも持たなければなりません。

 こうしたケースでは、トレードオフ曲線を検討するとよいでしょう。

[画像のクリックで拡大表示]

 トレードオフ曲線は、どのような項目同士がトレードオフの関係にあるかをインプットした上で、どの関係性がどのような曲線を描き、妥協点がどこにあるかを見いだすために使用します。こうした内容を量産設計業務に仕組みとして組み込んでおけば、自然とコスト意識は高まっていくでしょう。

 重要なのは意識させるための仕掛けを日常業務の中に組み込んでおくことです。「さまざまなことを意識しろ」と口頭でいくら言っても、設計者の意識は高まりません。

 他にも私が前職の時に意識していたことを挙げてみます。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら