設計の効率を高め、設計のリードタイムを短縮して、「同一品質」かつ「同一コスト」の製品を造る──。これが、今のトヨタ自動車の設計者に求められる条件です。同社に限らず、多くの設計者が目指すべき姿ではないでしょうか。

 この条件を満たす1つの方法に「モジュール化」があります。トヨタ自動車は10年以上前からモジュール化を手掛けており、非常に有効な方法です。モジュール化を導入する日本企業は珍しくありません。では、期待した通りの成果を得られているでしょうか?

 実は、単にモジュール化しただけでは、設計効率の大幅な向上にはつながらない可能性があります。モジュール化にはさまざまな課題があるのです。それらを列挙してみましょう。

  • [1]モジュールを選択するために時間がかかる。
  • [2]モジュールの選択の基準がない。
  • [3]受注生産の場合、仕様決定プロセスにモジュールの考え方が入っていない。
  • [4]仕様決定の結果、前の製番(モデル)を使用した方が効率的。
  • [5]見積もりとモジュールがつながっていない。
  • [6]モジュールを選択するのは、設計者任せになっている。

 これらの課題は一言でまとめることができます。「設計前プロセスが明確にされておらず、モジュールと連携されていない」と。

 20年前から言われているフロントローディングの重要な考え方に、「設計前準備の精度向上」があります。設計前準備の精度が低いようでは、いくらモジュール化を進めても、設計効率も品質も高まりません。フロントローディングを実現するには、設計前にしっかりと準備したり、プロセスを構築したりしなければなりません。

 では、モジュール化に焦点を当て、設計前準備・プロセスを考えてみましょう。

 モジュールを選択する際には、先の課題でも述べた通り、モジュールをどのように選択するかを考えることが非常に重要です。例えば、自動車の排気系部品〔エキゾーストマニホールド(エキマニ)と排気管〕をモジュール化するケースを考えてみましょう(図1)。

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