なぜ、図面がバラバラなのだろうか?──。これまでいろいろな会社の図面を見てきた、率直な感想です。設計者がさまざまな知識や経験を元に図面を描いているのですが、図面が会社ごとに統一されていない状態にあるケースがほとんどなのです。

 会社ごとに暗黙のルールがあり、その暗黙のルールは形式化されずにOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で伝承されていきます(決して、OJTが悪いと言っているのではありません)。

 しかし、今の時代の製品は昔とは異なり、複雑な形状になっていたり、部品点数が非常に多くなっていたりします。ビス1本とっても、さまざまなビスが存在し、その種類や使用方法も千差万別です。その上でさらに設計者ごとに考え方が異なると、異なる図面が出来上がるわけです。同じ会社にいて、同じ製品を設計しているにもかかわらず、異なる図面が出来上がるというこの現状は非常に興味深いことです。

 働き方改革に、人工知能(AI)・IoT(Internet of Things)とさまざまな変化が起きている今、設計部門にもその波が確実に押し寄せてきています。そのため、設計も効率的に行っていかなければなりません。これからの時代、効率的に設計を行う部分をより多くし、その効率化で生み出された時間を付加価値の高い創造的な内容を考える業務に移行していく必要があります。

 そのためには、設計者本位の図面を描かない仕組みが不可欠であり、新しい検図の考え方を構築していかなければならないのです。

 例えば、下記のような部品の図面があります(図1)。

図1 部品の図面
(出所:A&Mコンサルト)
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 皆さんが2次元の図面を描く場合、どのような三面図になるでしょうか。ある企業でこの部品の2次元図面を描いてもらったことがあります。20人ほどの設計者に取り組んでもらいました。すると、非常に興味深い結果になりました。

 上から見た投影面を正面図として記載した設計者が40%、正面から見た面を投影面として記載した設計者が60%だったのです。両方とも間違いではありませんが、設計者ごとに図面が変わるといった結果でした。

 まずは、上からの投影面を正面図に記載した設計者の図面が図2です。描き方が間違っているわけではありませんが、不十分な部分があります。Φ5(直径5mm)の穴がどこまで開いているのか、もしくは開いていないのかが分かりません。もう1面、投影面を記載しなければ、穴がどのような状態になっているのかが分からないのです。

図2 上からの投影図を正面図に記載した設計者の図面
(出所:A&Mコンサルト)
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 もう1面、投影面を記載すると、2つの投影面を見ながら、部品の構造を創造しなければなりません。つまり、「投影面を2つ記載する時間」と「部品構造を創造する時間」というムダな時間があるのです。

 では、効率的に図面を描いたらどうなるでしょうか。

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