FTA(Fault Tree Analysis;故障の木解析)を実施しているときに、「機能」と「性能」の表現方法の違いに困ることはないでしょうか。実は、FTAの中間事象*1を記載する際に、「機能の欠損」と「性能の低下による事象」がごちゃまぜに書かれているケースをよく見掛けます。

*1 中間事象 頂上事象(システム全体で困る事象)の原因となる事象。FTAでは中間事象では、ユニットやアセンブリーの機能の欠損を抽出する。

 前回のコラムにも記載したように、FTAは機能の欠損を考えることにより、重大故障を防止することが目的です。では、実際にどのような事例が書かれているのか見てみましょう。まずは悪い例から。

【悪い例】
・耐酸性に弱い

 耐酸性に弱いというのは性能の低下を表す表現(性能が基準を満たしていない=不適合品)です。機能の欠損とは異なります。FTAで検討すべきはあくまでも機能の欠損です。では、良い例を見てみましょう。

【良い例】
・シール面が溶ける(酸性の液体によるもの)。
・密閉ができない。

 耐酸性が弱い=著しい性能の低下により、密閉という機能の欠損が発生していることが表現されています。

 上記の例の中には、さまざまな言葉が出てきます。ここで、それぞれの内容の定義を明確にしていきましょう。

機能:ある物事(システム)に備わっている働き(システムの働きを表したもの)。製品が果たす役割のこと。

性能:機能の程度を数値で表したもの。機械や道具の能力。また、機械などが仕事を成し得る能力のこと。

不良品:性能が著しく低下もしくは何らかの機能が欠損し、用途を満たさない製品のこと。

不適合品:ある基準を満たしていない製品のこと。

 FTAで考えるべき内容は先ほども説明した通り、機能の欠損です。不適合品は機能の欠損ではなく、性能が低下している場合のことです。性能が安定しない、ばらつく、目標とする基準に達していない、というのは不適合品となります。そのため、FTAで検証すべき事項ではありません。

 ただし、性能が極端に低下(例えば、燃費が1L当たり1kmになるなど)した場合は機能の欠損が考えられ、不適合品というよりは不良品になるため、FTAの検証事項に含まれるようになります。

 FTAで中間事象を検討する際には、不適合品に対する表現(性能低下に関する内容)になっていないかどうかを、必ず確認してください。