中山聡史
A&Mコンサルト 経営コンサルタント

 今ほど設計者に大きな負担がかかっている時代はありません。競争が激化する中で、やらなければならないことは増えています。できる限りムダを省いて負担を軽減したいところです。設計においてムダと言えば、過去に起こした問題の再発です。

 製品に問題が発生した場合、不具合対策の内容を確認し、再発防止策を講じて、今後の設計手順を見直します。その後、各部署への連絡やドキュメントの変更など、さまざまな業務をこなさなければなりません。しかし、そもそも不具合を起こさなければ、こうした業務を行う必要はありません*1

*1 ただし、その企業にとって未知な問題もあります。未知な問題に対しても問題を発生させないようにするというのは非常に素晴らしい考えです。しかし、失敗から学ぶことは多いので、全ての失敗が悪というわけではありません。

 企業が経験する不具合の多くは、実は過去に発生したものといわれています。その時とは違う製品だとしても、同様の不具合は防がなければなりません。そして、そのために有効なツールが「FTA(Fault Tree Analysis;故障の木解析)」だと私は考えています。

 その理由は、FTAの定義にあります。すなわち、「過去に発生した機能の欠損の要因を解析し、定量的な確率を算出する。それにより優先順位を付けて、対策の検討を可能とするツール」だからです。そのため、機能の欠損をFTAで算出し、その要因内容が図面に含まれていないか、また要因の対策内容が図面に反映されているかを確認することにより、問題の未然防止が可能となるのです。

 皆さんは過去のトラブル(通称、過去トラ)をどのように活用していますか?

 同じ問題が起きないことを検証しようと思い、過去トラに記載されている問題の現象を確認したとします。しかし、それだけでは、今手掛けている製品でその現象が発生するかどうかは分かりません。従って、過去トラで現象だけを捉えても意味がありません。現象がどのような原因で起こるのかを検証しなければならないのです。これを検証するためにFTAを使います。そして、FTAで得た結果を検図に活用し、図面の品質を高めていくのです。

 では、ここでFTAについて振り返っておきましょう。