中山聡史
A&Mコンサルト 経営コンサルタント

 製品設計には、多くの情報を収集し、複数の設計者とコミュニケーションを取ってマネジメントしながら進めていく必要があります。この連載の第1回でそう述べたのですが、覚えているでしょうか。効率よく設計を行うためには、コミュニケーションやチームワークが欠かせません。しかし、設計者の中には黙々と図面に向き合って構造の検討や問題解決をしている人もいます。

 1人で完結できる仕事は世の中にほとんどありません。仕事はさまざまな人とチームを組み、コミュニケーションを取りながら進めていかなければなりません。働き方改革が叫ばれ、生産性や効率性の向上を求められている今は、コミュニケーションやチームの重要性について改めて考えるべき時ではないでしょうか。

 そこで、今回は設計部門に必要なチームについて考えてみましょう。

チームの定義とは

[1]チームの定義

 集団とは、ある目的を共有した2人以上の集合体です。しかし、目的を共有するだけでゴールに向かうわけではありません。例えば、共通の趣味を持つ人が集まるオフ会や喫茶店に集まる主婦の談話会などがそうです。こうした集団とは異なり、チームとは目的と、その目的を達成するためのプロセスを共有し、目指す姿に向かってまい進するための集団です。どちらも集合体の一種ですが、決定的に異なる点は「全員でゴールに向かうこと」です。集団はゴールに到達しなくても完了可能ですが(集まる目的が具体的ではない)、チームの場合はゴールに到達しなければ、完了することはありません。

 上記よりチームの定義とは以下のようになります。

  • (1)達成すべき目標が存在すること
  • (2)メンバーが協力しながら、課題や作業を遂行すること
  • (3)メンバーに役割を与えて、その役割を十分に果たせるような技能を発揮すること
  • (4)チームのメンバーとそれ以外のメンバーの境界は明瞭であること

 チームを形成するためには、設計する際に必ずメンバーの目標〔上記(1)〕を明確にした上で、役割と責任を決めなければなりません。そのためには、設計する最初の段階(設計インプット)で、メンバー全員で設計方針を共有する必要があります(設計方針の内容は第5回を参照)。設計方針が曖昧であるとチームを形成できず、設計をどのように進めていくかに関してメンバーのベクトルもそろいません。そのため、詳細設計に進んでからも各ユニットのインターフェースが合わず、多くの設計変更が提出されることでしょう。