[3]コスト意識

  • [1]作業現場にねじが落ちている…5円
  • [2]同じ印刷ミスをしてしまう……3円

 原価低減活動を行う際には、1円単位の低減目標が課されることがあります。これら2つの事例では、既に原価を8円も増加させています。しかし、ほんの些細なことだと気が付かない設計者が多いのではないでしょうか。

 製品の構造がある程度完成した後でコストを削減しようとしても、削減幅が少なくて限界があります。しかし、それ以前に日常からコスト意識を高めていなければ、設計段階で十分にコストを削減することができません。設計作業だけではなく、日頃からコストを意識することが大切です。その先に、原価目標が可能な構造の設計があるのです。

[4]技術者としての感覚を身に付ける

 私がエンジン設計をしていた時に、重要だと捉えていた感覚があります。それはエンジンの「音」への感覚です。エンジンを設計して試作品で評価をしている際にエンジンから異音がすれば、評価に値する前提条件が整っていない可能性があります。従って、この場合は即刻評価を中止し、異音の原因を確かめなければなりません。しかし、異音に気付かなければそのまま評価を行ってしまい、評価結果を見てから何かおかしいことに気付くことになります。気付かなければ、そのまま製品を出荷してしまい、市場不具合が発生してしまう危険性があるのです。

 つまり、フロントローディングができず、もう一度評価をやり直さなければならないのです。最悪のケースではエンジンが壊れてしまい、後の評価ができない可能性すらあります。

 設計者としての感覚とは、エンジンを見て、触って、聞いて、どのような問題がエンジン内部に起きているのかを感覚的に分かることなのです。

[5]1人の100歩より、100人が1歩ずつ

 設計者としてとても大切な考え方が、この「100人が1歩ずつ」というものだと私は思っています。たった1人の天才が優れたアイデアを出し、企業を引っ張って大きく業績を伸ばすというケースも確かにあるでしょう。しかし、その確率は極めて小さいというのが現実ではないでしょうか。

 それよりも、若手を育てる意味も含めて、自分の考えているコンセプトを何回もチームメンバーに話す。そうしてメンバーのアイデアを聞き、コンセプトの修正や深化を図っていく。こうしてみんなで考え、知恵を出し合って、より良いものを創造する。そうして顧客に付加価値の高い製品を提供する──。この方が成功する確率も、持続可能性も高いのではないでしょうか。

 最新技術を使うことは重要です。しかし、それを正しく活用するためにこそ、「設計者としての志」を考えみることを勧めます。その志が設計部門の風土となり、設計者全員が一致団結することにつながる。私はそう考えています。