中山聡史
A&Mコンサルト 経営コンサルタント

 設計する際に、ねじをどのように考えていますか? ものづくりにおいてねじは非常に重要な部品の1つです。自動車でいえば、たった1つのねじの不具合により、運転手が危険にさらされることがあります。ねじのない自動車を生産することができるか。答えは、「No」です。

 ねじはさまざまな部品やユニットを締結し、自動車としての基本機能である「走る」「曲がる」「止まる」を実現しています。今後もその方向性は変わりません。しかし、ねじにおける環境が変わってきているのも事実です。

 今回はねじにおける環境の変化と、ねじに関する設計の考え方を説明していきます。

[1]ねじ産業の現状

 少し古いデータになりますが、2013年のねじ産業の推移を調査すると、「生産数:伸びが鈍化、輸出:10%増加、輸入:30%増加の状況により、内需の減少、輸出増、輸入品の国内シェア拡大」となっています(精密工学会誌より)。

 直近10年の推移を調査すると国内生産は横ばいであるのに対し、海外生産が増加。特にねじ産業の会社の事業数が近年、海外で急激に増加しています。ねじの主な需要家である自動車産業や電機産業の生産拠点が海外に移転した影響を反映した結果です。

[2]他国におけるねじの現状

 日本のねじの品質と比べると、海外の品質はやはり低いというのが現状のようです。日本のねじの品質があれば、他国のねじに勝てるチャンスはあると思います。

[3]自動車におけるねじの現状

 日本の自動車では、メートルねじを使用しています。ただし、シートベルトに関してはインチねじを使用しています(米国で最初に実用されたため)。エアバッグはメートルねじです(日本で最初に実用されたため)。

[4]自動車におけるねじの不具合の分類

分類1:ねじの締結により部品の損傷を招く。

分類2:締結の際に、部品とねじのレイアウトなどの都合で緩み止め用の座金などを使用できなくなり、走行時の振動がねじに伝わってねじの緩みを招く。

分類3:ねじそのものの強度不足や形状不適合により、ねじの損傷を招く。

 ねじは用途に応じて正しく使用しなければなりません。ただし、分類2のようにレイアウト上、使用したくても使用できないねじが開発時には少なからず存在します。その場合、ねじに対する要求事項を明確にするとともに、ねじに品質企画(設計品質)の考え方を取り入れます。その上で、ねじの使い方に着眼し、用途に合ったねじを開発する必要があります。こうした活動を続けることでねじは進化し、新たな高い品質を持ったねじが生み出されていきます。部品に与える影響を常に考え、ねじ1本をおろそかにしてはいけません

「ねじに笑うものは、ねじに泣く」

 これが、私が考えるねじに対する設計のあり方です。ねじを軽視して設計する設計者は少なからず存在するので、注意が必要です。