中山 聡史
A&Mコンサルト 経営コンサルタント

 「設計の定義」について、今回は考えてみたいと思います。設計者の皆さんは日ごろ「設計」という仕事をしていると思います。では、設計とはどのような仕事なのかを振り返ったことはありますか? 出図の時間に追われ、評価の時間に追われて、なかなかそうしたことを考える時間はないかもしれません。でも、仕事の本来の目的を忘れると、手段(図面を描くことなど)が目的になってしまい、設計者の最大限の力を出すことができません。

 設計において「世の中にないものを生み出す」には、さまざまな情報を整理していく必要があります。設計者は、まず顧客が要求する内容をヒアリングし、さまざまな情報を整理します。そこから構想を考え、図面を描きます。これが設計者の仕事の大まかな流れです。

 この「情報を整理する」という部分が非常に重要になってきます。情報に設計者がどのように関わっているかというと、「要素と全体の構成を考え、決定して、具体化する。その情報から新たな価値を生み出すこと」が設計者の関わり、必要性となります。簡単に言うと、人間が創造したことを「もの」という形にする橋渡しです。

 上記の目的を、さらに手段として展開してみましょう。

  • [1]作ろうとするものの全ての事柄を決定する。
  • [2]その結果を作る人や使う人に分かりやすく伝える。
  • [3]その結果に従って、正確かつ迅速に、容易に製作できるようにする。
  • [4]作ろうとするものや作ったものについての知識や経験を蓄積し、次に作るときのノウハウにする。

 この4つが、設計者がすべき仕事です。

 それでは、上記の手段のそれぞれのアウトプットを整理しましょう。

  • [1]企画書や設計仕様書など
  • [2]ポンチ絵や構想図、組立図、部品図など
  • [3]加工図や部品表など
  • [4]コア技術のまとめや失敗事例集、不適合報告書など

 間違った定義は、「設計とは図面を描くこと。すなわち設計=製図の考え」です。どれほど作図がうまくても、相手に伝わらなければ意味がありません。デザイナーの仕事とは違って空想のイメージを伝えるだけではなく、そこから「ものづくり」が可能でなければならないのです。