中山聡史
A&Mコンサルト 経営コンサルタント

 ポンチ絵の話をしようと考えていましたが、その話は次回に回して、今回はコア技術について説明したいと思います。

 「コア技術」と聞いて、何を思い浮かべますか? 「御社のコア技術はなんですか?」と問われて、すぐに答えられる人はどのくらいいるでしょうか。

 本来製造業であれば、基本機能を実現させるためのコアな技術があるからこそ、競合他社と競争することができます。加えて、差異化を図るためにも、新たな付加価値となる技術が必要です。その新しい技術がまた「コア技術」となり、その会社特有の技術に認定されていくのです。時代は流れていますから、付加価値だと思っていた機能が今や当たり前の機能(基本機能)になってしまった──というようなことはよくあることでしょう。

 しかし、基本機能を実現するための技術内容は会社によって異なります(もちろん、同様の技術もあるでしょう)。その異なる部分こそが大変重要であり、その企業になくてはならない技術、すなわち「コア技術」なのです。

 今の時代の設計は、流用設計が基本です。まず、流用元を検討し、そこから新規設計部分や新規組み合わせ部分などを検討します。しかし、流用元がどのような機能を保有しているか、また、それを実現するために何の技術が使用されているか、などの検討は全くしていません。設計者は自社のコア技術をよく知らずに使用しているのです。

 その上、コア技術がどれくらいの付加価値を生み出すのかも全く理解していません。とにかく、顧客に言われた納期に間に合わせ、コストを少しでも低く、高い品質を持つ製品を必死になって開発しているのです。

 当然ですが、コア技術が見えるようになっていない状態で、設計者に「理解しろ!」と言っても無理があります。さらに言えば、コア技術は大抵の場合、個人が持っていることが多いのではないでしょうか。

 では、ここで考えてみてください。コア技術を持っている人が退職したらどうなるでしょうか? 残るのは技術資料と図面、製品のみです。ここからコア技術を抽出しようと思っても、他社製品のコア技術を抽出するのと同じく、非常に困難です。そもそも技術を抽出しようにも多くの時間がかかってしまいます。

 そうしたことにならないように、本来は自社が保有しているコア技術が何かというのを「見える化」する必要があります。見える化し、体系化して、常にその技術がすぐに使用できる状態にしておかなければなりません。