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中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント

 前回(第24回)からの続きでもありますが、図面を描く時間を皆さんはどのように設定していますか。これまでのコラムでも説明した通り、図面を描くにはさまざまな情報が必要です。設計書やDRBFM(FMEA)、技術基準など、全ての情報を頭に叩き込まなければなりません。

 そんなときに最初に取り掛かることは何でしょうか?

 今は、いきなりCAD操作をしていると思います。私も若い時は、とにかくCADを触りながら、いろいろなことを描いては消し、また描くことを繰り返していました。すると、最初は構想したことを描いて絵にしてみるだけだったのに、いつの間にか、その構想図面自体をきれいに描こうという考えにすり替わっていき、CADを操作している時間が長くなっていきました。

 構造図(計画図)の目的はその言葉通り、「構想したことを絵にする」ことです。絵がきれいに描けているかどうかなど、はっきり言って関係がありません。構想したことが設計書などと合致しているか否かを確認すること(まさに第1回目の検図)が目的なのです。

 となると、わざわざCADを操作する必要はありませんよね。ポンチ絵で十分ですし、議論するためにはその場ですぐに変更できるポンチ絵の方が絶対に重宝されるはずです。

 ということで、「構想図(計画図)を記載するときは、CADではなくポンチ絵で!」。これが私から皆さんへの提案です。

 納得してくれる人は多いと思います。しかし、実際に実施しようとすると、ある問題にぶち当たります。それは、「若手設計者がポンチ絵を描けない!」という事実です。

「等角投影図って何?」では困る

 実は、この事態に私は何度も直面しています。多くの企業で設計者研修を行っているのですが、ポンチ絵を描けない設計者が意外と多いのです。原因は、3D-CADにあります。

 3D-CAD図を使えば、立体を自由に描くことができます。そのため、平面の情報を立体に仕上げる能力が低下しているのです。3D-CADが悪いと言っているのではありません。3D-CADには、3D図を共有したり、モジュラー設計時にリードタイムを短縮したりするといったメリットがあります。そのため、多くの企業が導入しています。そうではなく、今の若い設計者は、等角投影図の描き方を習っていないことが問題なのです。私は大学の時の製図の授業で習った記憶があります。3本の軸(X軸、Y軸、Z軸)を全て120°の間隔で描き、立体図を書いていく──。これだけです。

 このくらいは当然知っておくべきです。「等角投影図って何?」などとならないように、製図の基本を押さえておく必要があります。等角投影図をしっかり理解し、ポンチ絵を描いていきましょう。

 では、次回はポンチ絵を描くコツを説明します。