【質問】

 私は、韓国の自動車メーカーに勤務する電気自動車(EV)担当のプロジェクトマネージャーです。國井先生のコラムの第37回でも質問させていただきました。そこで、トラブルの発生率が高い3つの原因が[1]新規技術、[2]トレードオフ、[3]変更、であることを学びました。このうち[3]の変更について、もっと詳しく教えてください。

 この質問に対する私の回答はこうです。

【回答】

 確かに、トラブルの発生率が高い3つの原因を「トラブル三兄弟」と呼び、[1]新規技術、[2]トレードオフ、[3]変更、であることを第37回で学びました。そして、[1]の新規技術と[2]のトレードオフの詳細については、それぞれ第37回と第38回で解説しました。この流れからすると、当然、残った「変更」についての質問が来ると思っていました。実は、この「変更」は最も重要と言っても過言ではありません。今回は変更について解説していきましょう。

変更の重要性が一目で分かるグラフ

 変更とは、その名の通り設計に変更を加えることです。具体的には、材料や仕入れ先、生産地、工程、担当者の変更などが相当します。変更がなぜ重要か。次のような現実があるからです。

[1]変更は、トラブル三兄弟の骨格を成す重要なトラブル要因である。

[2]新聞に載るほど重大な社告・リコールの原因の多くが「変更」に起因している。

[3]変更は安易にできてしまう半面、対策までの費用と工数(≒時間)がかかる厄介な原因系である。

図1●トラブル三兄弟に関する件数の分析(左)と損失金額の分析(右)
(出展:國井技術士設計事務所)
[画像のクリックで拡大表示]

 私の事務所は、クライアント企業である9社(電気・電子企業、事務機器企業)の協力を得て数年分の過去トラブルを分析したことがあります。その結果を見れば、変更の重要性がよく分かると思います(図1)。左側の円グラフがトラブル件数(2592件)におけるトラブル三兄弟の割合、右側の円グラフが損失金額(約17億円)におけるトラブル三兄弟の割合です。

 まず、トラブル件数におけるトラブル三兄弟の割合は、新規技術が31.8%、トレードオフが26.4%、変更が37.8%となりました。最も多いトラブル原因が「変更」だったのです。ただし、これは調査によってばらつきがあり、トラブル三兄弟はそれぞれが大体1/3を占めると見て構わないと思います。実際、第37回で示したトラブル原因の分析結果はそうでした。

 注目すべきは、損失金額におけるトラブル三兄弟の割合の方です。なんと、変更が51.1%と過半数を占めていたのです。このことを知れば、変更の重要性をよく理解できると思います。ぜひ、読者の企業でも過去のトラブルを分析してみてください。恐らく似たような傾向が見られるのではないかと思います。

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