國井 良昌
國井技術士設計事務所 所長

 次のような質問が私の事務所に寄せられました。

【質問】

 先日、知人の息子さん(34歳、機械系技術者)に久々に会いました。彼は埼玉県に所在する中小企業に勤務しています。毎晩、帰宅時間が遅く、働き方改革など「どこの国の話?」といった感じだそうです。というのも、彼が勤務する企業は中国財団からのM&Aにより、中国系企業になったのです。多忙を極める彼を、ちょっとからかってみようと思いました。「PDCAって知ってる?」「先生、ばかにしないでください。Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)でしょう」。ところがこの後、なんと逆襲されました。「それでは先生、逆に質問します。中国企業ではPDCAはとっくにすたれています。では、PDCAではなく、今は何になったでしょうか?」。私は白旗を揚げました。教えてください。

 この質問に対する私の回答はこうです。

【回答33】

 正解は「DoとAction」です。今やこうでなければ勝てません。日本企業は会議ばかりやっているようですが、勝てると思いますか。

 「竹やりでB-29爆撃機を落とせ!」という無謀な言葉は、第2次世界大戦中に軍隊だけではなく民間人にも発せられた言葉です。悲しい歴史を含んだ言葉なので、この件について軽率にコメントはできません。しかし、ここで何のためにこの言葉を引用したかというと、ガラパゴス大国の日本企業では、この類(たぐい)の文言や慣習が、現在も企業内で堂々とその存在を誇示しているからです。

 その代表格が「5S」です。

 これは、「Save」や「Sefity」、「Security」…などかと、思いきや、なんと「整理」、「整頓」、「清掃」、「清潔」、「躾(しつけ)」です。ローマ字で書くとどれも頭にSがつきますね。Sが5つあります。確かに「5S」です。「これで日本企業は世界で勝てるのか」など目くじらを立てる必要はないのかもしれませんが、あまりにも時代錯誤であり、危機感のない状態が心配になります。私が特に心配しているのが日本の技術者です。

QC手法とは、PDCAとは

 QC(Quality Control)手法とは、JISZ8101によれば、「買手の要求に合った品質の品物、または、サービスを経済的に作り出すための手段の体系」と定義されています。しかし、これはちょっと難解です。

 QC手法とは、顧客第一主義に基づく企業の改善活動です。例えば、顧客クレームのトラブルを「問題解決のためのQC7つ道具」と呼ぶ下記のツールを使用した「科学的思考」の基に分析することを推奨しています。下記に示す「7つ道具」を使って分析すればよいのです。

  • [1]パレート図
  • [2]ヒストグラム
  • [3]管理図
  • [4]散布図
  • [5]特性要因図
  • [6]チェックシート
  • [7]グラフ

 最も排除したいのは、勘と度胸と経験だけに基づいた判断です。従って、前述の①〜⑦の「7つ道具」を使った分析をしてから判断しましょう。これは、技術者の基本姿勢です。

 ここで、「7つの道具」を使うための大きな枠組みがあります。それが図1に示す、とても有名な「PDCA」という概念です。

図1●PDCAとPDCAサイクル(PDCAを繰り返す)
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 PDCAに沿って物事を進め、そして、PDCAを繰り返しながらスパイラルアップしていくというものです。1960年代、日本製品の品質の向上に貢献しました。