次のような質問が私の事務所に寄せられました。

【質問27】
 埼玉県の中小企業に勤務する設計者です。当社は、検査装置や組立治具などの「装置」を設計・製造する埼玉県の中小企業です。近年、景気の上昇とともに仕事が増え、あまりの忙しさに悲鳴を上げています。このままですと、「働き方改革」なんて夢のまた夢。人手が全く足りていないため、「ブラック企業」と呼ばれる一歩手前の状況です。先生に伺います。他の会社ではどのように人手不足を補っているのでしょうか? 教えてください。

 この質問に対する私の回答はこうです。

【回答27】
 人手不足とのことですが、それは本当ですか? もう少し詳しい情報を知りたいですね。とりあえず、あなたが主張する人手不足とは、機械設計と電気設計の設計者であることが判明しました。それでは、当事務所のクライアント企業の事例から推定したことを一般論も含めて回答しましょう。

ニッパチの法則

 「ニッパチの法則」や「2:8の法則」、「パレートの法則」などという言葉を目や耳にしたことはありますか。論文や壇上で使うときは、「パレートの法則」の使用をお勧めします。さて、そのパレートの法則とは、「イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した法則のこと。経済活動において全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している」とWeb検索すると出てきます。

 もう少し易しく説明すると、「企業において全売り上げの8割は、その企業の2割の商品で稼いでいる」と表現できます。他にも「100匹のアリのうち、よく働くのは2割だけ」といった言い方もあります。しかし、前者と後者では、図1に示すように、ちょっとニュアンスが異なります。

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図1●パレートの法則を図示化

 アリの例は、図1の赤枠のみを表現していると推察します。ここで、正しい使い方を論じるよりも、使われ方の事例を紹介しましょう。まず、図1の左側の例です。

[1]コンビニエンスストア(以下、コンビニ)の2割の商品が、その店の8割の利益を出している。
[2]コンビニ占有面積の2割が、その店の8割の利益を出している。
[3]故障の8割は、全部品のうち2割に原因がある。
[4]全体の2割が優れた設計ならば、実用上8割の状況で優れた能力を発揮する。

 次に、同じく図1の右側のアリの例を応用します。

[5]大手家電企業にて、社内資料の8割がムダで2割が有効だった(実話)。
[6]同企業にて、全社員の2割が真剣に働いている(実話)。
[7]同企業にて、営業の2割がその企業の利益を稼いでいる(実話)。
[8]試験範囲が教科書1冊のとき、その1冊の2割から試験に出る。

 パレートの法則を受け入れるならば、「人手不足」とは安易に言えない気がしますね。実際、人手不足とは言えない設計現場があるのです。事例を紹介しましょう。