古谷 賢一=ジェムコ日本経営 本部長コンサルタント、MBA(経営学修士)
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 工場の改善活動には「抵抗勢力」の登場が付きものだ。改善活動のリーダーが旗を振ってもなかなか組織全体が動かない。自分のやり方を変えたくない人や職場の変化を嫌う人、時には「あいつの指図は受けたくない」という個人的な人間関係を持ち出す人までいる。

 やる気と実績のある中堅クラスの優秀な社員を改善のリーダーに据えて改善活動に取り組んでも、「あの人が取り組みに参加してくれなくて、困っています」と、リーダーが泣きついてきたという話は枚挙に暇がない。改善活動の抵抗勢力になるのは、ベテラン社員や特定の技術に秀でている社員であることが多い。経験も実力もない社員は、そもそも抵抗勢力にはなり得ないので、中堅クラスの改善リーダーは、「協力してくれない先輩」に頼み込んで協力をお願いする関係になる。こうして抵抗勢力は超えられない壁になってしまう。

 逆もしかりだ。社内に顔の利く“重量級”の管理職を改善リーダーに据えて、それがうまく機能すれば強力に改善が進む。しかし、抵抗勢力を腕力で抑え込むことにより、改善活動が「やらされ仕事」の色合いを強めてしまうと、工場における改善への自発的意欲を削いでしまう結果になることもある。

強い工場づくりのポイント

 強い工場は、組織として改善活動の成果を最大化すると同時に、組織として改善に対する意識の最大化を目指す。これは、企業そして工場は、継続して存続・発展しなければならないという「ゴーイングコンサーン」の視点を持つ。

 改善成果を最大化しても、やらされ感や負担感など不満が募る組織になってしまっては、継続的に貢献し続けることを期待できない。改善することの意味を理解し、工場全体が改善に対して前向きに取り組むという意識の醸成が大変重要だ。

 理想とは別に、抵抗勢力が積極的に抵抗活動を行うと、成果の最大化ができないばかりか、意識の最大化が著しく阻害されてしまうことを肝に銘じてほしい。抵抗勢力の意識を短期的に変えることは難しいだけではなく、積極的に負の力を発揮されると工場の改善が頓挫してしまう。こうした苦しい前提条件を考えると、抵抗勢力を、積極的な抵抗者にしない、言い換えると、積極的に協力してもらうことは難しくても、少なくとも邪魔はしないでほしいというスタンスで、改善活動を進めることが実践的だ。

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