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古谷 賢一=ジェムコ日本経営 本部長コンサルタント、MBA(経営学修士)

 「何やってるんだ! もっと気を付けないとダメじゃないか」。作業ミスを叱責する声が響く生産現場がある。日々、多忙な中で操業をしている工場では、さまざまなトラブルが発生する。問題が発生すれば当然、工場の関係者は対策に乗り出す。だが、トラブルを発生させた人を叱責し、ペナルティーを与えて、その人の責任を追及するという方法には首をかしげざるを得ない。

 近頃は叱り方を間違えるとパワーハラスメントと言われるので、叱責の言葉自体は穏やかなものになっているようだ。だが、個人の責任追及という本質は変わっていないケースが多い。問題発生の前に時間を巻き戻すことはできないのだから、トラブルを発生させた個人を非難しても何の解決にもならない。むしろ、マイナスだ。叱責から逃れようとトラブルがあった事実を隠ぺいしたり、不正に手を染めてしまったりする生産現場になる危険性があるからだ。

強い工場づくりのポイント

 強い工場は、問題が発生したときに「なぜ発生してしまったのか」を追究し、その本当の原因、すなわち真因を明らかにすることに力を入れる。その過程で、トラブルを発生させてしまった個人に、その時の状況を詳しく聞くことはある。だが、それはあくまでも「事実を正しく把握すること」が目的であり、問題を発生させた「本人を責める」ことが目的ではない。

 トラブルの原因が設備や材料などであれば、技術的な解決方法がある。だが、人のミスによるものの場合、ミスをした個人の注意不足や認識不足を責めることが多い。注意不足である場合は、「注意を徹底すること」が対策になる。認識不足の場合は、「再教育すること」が対策になる。しかし、これらの対策はトラブルの真因を見落としているため、根本の対策とは言えない。

 これらのトラブルの真因は作業する人に注意を強いる作業や、認識不足を招くような指導内容にある。人がなぜトラブルを引き起こすに至ったのかという根本原因を追究するためには、個人を責めないというスタンスを取らなければならないのだ。

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