古谷 賢一
ジェムコ日本経営 本部長コンサルタント、MBA(経営学修士)

 ものづくりの現場では、何かのプロセスが止まると出荷が止まってしまう。工場にとって出荷が止まったり出荷が遅れたりすることは致命的な問題だ。そのため、作業や作業工程について生産計画を立て、「見える化」して、問題が発生した場合はすぐに対策を講じる。この基本的な活動が生産現場の根底にある。

 これは至極当たり前のことながら、直接生産に関わっていない部門には実感しづらい。だが、会社としては工場の管理や間接部門の業務が見えていないと「今日の出荷」は止まらなくても、「会社の仕事」が止まり、大きなロスを生む危険性がある。工場の誰もが「ものづくり」に関わるあらゆる機能を「見て、分かる」状態で業務を遂行すべきだ。そうでないと、結果は「成り行き次第」。生産に影響が出るような不測の事態になると、途端に慌てることになる。

強い工場づくりのポイント

 強い工場は、生産工程で徹底的に問題の「見える化」、つまりトラブルやトラブルの芽に対する可視化を行っている。

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 ところが、管理・間接部門では問題の見える化が進んでいないことが多い。例えば、工場の出荷を左右するような出荷検査を行っている品質管理部門において、検査作業が問題なく遂行できているか否かを見える化しているだろうか。工場が生産に取り掛かれるか否かを左右する材料調達を担う資材部門で、ここ数日の材料の入荷予定や現在の入荷状況を見える化しているだろうか。

 間接部門になると、資材や検査といった生産に影響が出るような部門ですら、見える化の意識が希薄になりがちだ。資材の目的は良くも悪くも「材料調達」であって「出荷の維持」ではないからだ。検査も同様で、目的は「合否検査」であって「出荷の維持」ではないからである。

 また、生産現場から離れた会社の管理部門は、「今日の出荷」から受ける影響が小さい。そのため、工場の間接部門以上に業務の進捗や是非が「見えない」状態になっていることが多い。従って、生産計画の未達や出荷の遅延に対する意識が希薄な傾向にある。

 しかし、製造業が稼ぐ手段(キャッシュイン)は、「ものを造って売り、その代金を回収すること」に尽きるので、工場の状態はお金に直結する。しかし、生産活動から離れた管理部門は、生産現場における日々の出来事がお金にいかに影響するかが見えにくく、問題の見える化にまで踏み込んでくることはほとんどない。

 これに対し、強い工場では、何かトラブルが発生すれば仕事の流れが悪くなり、生産活動が阻害されるだけにとどまらず、会社の業績に大きく影響が出ることを知っている。そのため、直接的な生産活動だけではなく、間接業務や管理部門でも同様に徹底した問題の見える化を進めている。

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