古谷 賢一
ジェムコ日本経営 本部長コンサルタント、MBA(経営学修士)

 工場で管理するのは何かと問われたときに、「変化点」と答える人は多い。変化点管理は、工場管理の基本の1つなのでこの答えは正しい。しかし、その「変化点」の管理がきちんと機能しているかどうかは、また別の問題だ。

 そもそも、変化点管理を行う目的は「生産の4要素と言われる4M〔Man(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)〕の内容が変化するときに、品質の危険性が生じる」という考えに基づき、4Mの変化点を適切に把握して、品質問題の発生を未然に防ぐことだ。

 例えば、「材料メーカーを変える」という変化点があった場合、材料メーカーを変えるのに先立ち、新しい材料メーカーの工程管理状態の確認や材料特性の評価、工程での使い勝手など、さまざまな視点から検討を加え、必要な対策をあらかじめ講じる。これにより、材料メーカーを変更した後でも品質問題が生じないようにしておく。

 4Mの変化点管理は、安全問題や環境問題の防止、設備トラブルの防止など、さまざまな分野で広く活用されている。また、生産だけではなく企画や開発・設計、調達、販売など、プロセスを問わず活用されている点も特徴だ。

 品質問題が発生した際に、「まさか〇〇が変わっていたとは気が付かなかった」や「〇〇が勝手に変えられていた」といった問題に直面するケースは結構多いのではないだろうか。こうした問題が起きるということは、すなわち、ものづくりの「基本のキ」であるこの変化点管理が機能していない証左である。

強い工場づくりのポイント

 強い工場は、4Mの変化点管理の重要性を理解し、徹底した取り組みを行っている。良品が出来る条件(問題が起きない条件)と、全く同じ材料と、全く同じ設備・治工具、全く同じ人、全く同じ作業・管理であれば、物理的に良品しか造りようがない(問題の起きる理由がない)。しかし、だからこそ、何かが少しでも変われば、そこに問題が生じる危険性が必ず生じる。

 それ故に、生産現場では4Mの変化点管理が基本となり、この変化点を絶対に見落とさないように「見える化」に徹底して取り組んでいる。しかし、現実はマネジメントシステムの一環で「品質記録」として変化点管理が実施されていても、「見える4Mの変化点管理」はもちろん、「見えて気付いた変化点での問題の未然防止活動」ができていないケースが極めて多い。

 強い工場では、生産現場で作業者や管理者が4Mの変化点を記録目的ではなく、日々つぶさに把握している。変化に対して関係者が知恵を集め、品質問題の危険性(品質問題の「芽」)を洗い出して未然防止への取り組みに挑戦している。

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