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古谷 賢一=ジェムコ日本経営 本部長コンサルタント、MBA(経営学修士)

 工場での改善は、かなり検討を重ねても思い通りの結果が得られないことがある。それでも、メンバーの意見の違いや検討もれなどを追究してさらに改善を深めていく。生産性や品質、安全に関する改善には、それを生み出す因果関係が必ずある。目標未達の場合や想定と異なる結果が出た場合、原因を対策しない限り目標は達成しないし、想定通りの結果が得られることもない。これは、管理のPCDAのサイクルで言えば、結果をチェック(C)する重要な部分に相当する。

 問題は、「想定以上」の結果が得られたときにどうするかだ。恐らく、大抵の人はなぜ「良い結果」が出たのかについて、原因を分析せずに済ませてしまうのではないだろうか。管理のPDCAで言えばチェック(C)し、その結果が良かったことを喜んで、「結果は良いほどよい」と判断してそこで終わってしまう。そのため、次の対策(A)を講じるステップには進まない。だが、果たして「結果が良かったのだから問題はない」とそのままにしておいてよいのだろうか。

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強い工場づくりのポイント

 強い工場で必ず行われているのが「予実管理」、すなわち計画と実績との対比だ。本コラムの第26回で、強い工場では管理のPDCAをきちんと回していることを説いた。計画(P)して実行(D)するが、チェック(C)とそれを踏まえた対策(A)を適切に行っていない会社が多いため、是正すべきだと指摘した。

 ただし、管理のPDCAが回ってさえいればよいというわけではない。そこには「落とし穴」があるというのが、今回指摘するポイントだ。チェック(C)の段階で、想定以上に良い結果が得られたので、特に対策(A)は必要なしと判断してしまうという「落とし穴」である。確かに管理のPDCAは形の上では回っている。ところが、それだけでは時に大きな問題を引き起こしてしまうリスクをはらんでいる。

 強い工場の予実管理では、実績が予定に対して下振れした場合、すなわち目標未達のときには、当然、原因を追及する。だが、それだけではない。実績が予定に対して上振れしたとき、もっと言えば目標を上回る結果になった場合でも、徹底的に原因や差異の真因を追究する。

 因果関係が明確になっていれば、結果は必ず想定通りになる。つまり、上振れも想定外だ。想定通りにならないというのは、上振れか下振れかに関係なく、因果関係を見極められていないということ。「結果」を導き出す「原因」が技術的に解明できていない証拠だ。あるいは、結果を導くための取り組みが適切に行われていないとも言える。

 言い換えれば、今回は「たまたま」実績が上振れしただけで、いつ実績が下振れするか分からないということである。だからこそ強い工場は、実績の上振れに対しても、厳しく目を向けるのだ。