日々、さまざまな人工知能に関するメディアの記事などを見ていて、1つうんざりしていることがあります。それは、「人工知能によって奪われる職業ランキング」というものが掲載されていることです。そろそろ、そういった考えからは卒業してほしいと思っています。

 人工知能で仕事のやり方は大きく変わります。でも、職業そのものがなくなることは当分ありません。よって、人工知能によって街に失業者があふれるなんてことはありません(他の要因で経済が低迷する可能性はありますが…)。

 むしろ人工知能の台頭よりも、我々には心配しなければならない、確実に発生する大問題があります。それは、少子高齢化です。

 少子高齢化が進むと、さまざまな分野に影響を及ぼすでしょう。基本的に薄利多売のビジネスは人件費の高騰や生産力低下に伴って崩壊します。よって、低価格が売りの幅広い地域に出店しているようなビジネスは非常に苦しい時代となるでしょう。それを避けるためには、少子高齢化に備えてなるべく定型化された単純作業は、人工知能やロボットに任せなければなりません。既に、飲食や建設、小売りなどのさまざまな業界で人手不足による現場崩壊が発生しています。

 そういう観点からも、そろそろ、人間と人工知能が共に働くために、人間は何をしなければならないのかを考えるべきだと思います。

人間が今後も担うべき仕事

 基本的に現在の人工知能は定型化された作業を行うことが得意です。ただ、文字認識のように、多少誤差や想定外の事態が発生しても、それなりの精度で判定できる点が通常のソフトウエアよりも応用力があり有能です。

 よって、文字認識など特定の作業では非常に高い精度を達成しており、例えば手書きの書類からのデータ入力などは人工知能を使って人間への負担を大幅に減らすことが可能です。このように、いわゆる「ホワイトカラー」と呼ばれる事務仕事が人工知能に置き換えられるといわれています。

 では、一体どの程度の業務が人工知能やロボットに置き換わるのでしょうか?

 現在の人工知能が苦手とすることと人間の心理を考慮すると、以下の仕事は当分人工知能が行うことは難しいでしょう。

  • 芸術や音楽など創造性を必要とする仕事
  • 人間の心情に配慮が必要な高度なコミュニケーションを必要とする仕事
  • 今後の世界情勢や流行など、データ化することが難しく、判断することを必要とする仕事
  • スピーチやスポーツなど、人間から見て人間としてのストーリーがあることに価値がある仕事
  • 命を失う事故の可能性があり、人間が最終責任者として実施する必要がある仕事

 また、現在のロボット技術では代替できないような作業を考えると、以下のような作業は人工知能の性能にかかわらず、代替は難しいでしょう。

  • いろいろな所を移動し、精密なバランス感覚を必要とする作業
  • 繊細で微妙な力調整を必要とする作業

 つまり、これらの仕事は、まだまだ人間が行う必要があります。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら