海外メーカーはレベル5を狙っている

 私は自動運転のレベル5(完全自動運転。ドライバーは運転に注意する必要がなく、クルマ同士が通信を行う)のクルマが公道を走るというのには否定的でした。その理由は、法律や保険など、技術以外の部分での問題が多く存在するからです。しかしながら、先にも述べたような国レベルでの思惑が絡むと予想以上に各国が法整備などを進めました。

図●SAEが定める自動化レベル。伊本が作成。
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 実際、2017年にドイツ政府は法律を改正し、レベル3の自動運転(特定の限定された場所で自動運転を行い、ドライバーは常に注意義務が存在する)を許可しています。そして、2019年にベルリン市内ではレベル3相当のバスが運行を開始する予定になっています。

 このように自動運転への機運が一気に高まると、各メーカーは積極的に自動運転の開発を行うようになりました。2018年時点において、ドイツ・ビーエムダブリュー(BWM)やドイツ・アウディ(Audi)、ドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen)、ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン(National Electric Vehicle Sweden)、米ゼネラルモーターズ(General Motors)などがレベル5相当の運転可能なコンセプトカーを発表しています。

日本メーカーの攻勢

 これまで、日本のメーカーは、自動運転に関して市場への投入は様子見という感じでした。ただ、各社将来に向けて開発は行っています。日産自動車とホンダは自動運転車の開発を進め、2020年の発売を目指しています。ただし、日本はまだまだ法整備などが進んでいないので、恐らくレベル3相当のものになると予想しています。

 また、予想以上に海外メーカーの開発が進んだせいか、ここにきて2018年末には大きな動きが出てきています。中でも象徴的なのは、2018年10月のトヨタ自動車とソフトバンクの提携です。

 ただし、これはトヨタ自動車が自動運転のクルマを生産するためではなく、自動運転のサービス(Mobility as a Service)を行うための提携というところが重要なポイントです。

 私はこの提携に関しては肯定的に見ています。その理由は、今後業界のルールが変わると「自動車を売って稼ぐ」のではなく、「自動車でサービスを提供することで稼ぐ」という形に変わるのではないかと考えているからです。また、トヨタ自動車が自分たちだけで実現するのではなく、ソフトバンクと提携したという点も重要です。つまり、自動車業界のパワーバランスが大きく変わりつつあるということではないでしょうか。

 次回、後編では自動車業界のサービス重視への変化と、自動車業界とIT企業との関係、今後の自動車業界における台風の目となるであろう米エヌビディア(NVIDIA)とそのプラットフォームについて書きたいと思います。