伊本貴士=メディアスケッチ 代表取締役、サイバー大学客員講師
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 これまで講座などで、私は人工知能が社会で広く役立つようになるのは2020年と予想し、そう伝えてきました。人工知能はさまざまな分野で活用されはじめ、検証も進んできました。中でも世界中で開発が進んでいるのが自動運転車です。

 特に米国、ドイツ、中国などの各自動車メーカーは、これまで日本の自動車メーカーに遅れをとっていたこともあり、自動運転と電気自動車という新しい技術で自動車業界における競争のルールを変えようとしています。

自動車業界における競争ルールの変化

 まだまだ進化の余地はあるものの、自動車は近年、安全性に優れたものへと進化しました。ボディーの強度だけではなく、ブレーキサポートやエアバッグなどさまざまな安全装置が付属しています。このような技術が確立し浸透していくと、安全性という基準だけでは差が付きにくくなると予測されます。

 他にもカーナビゲーションシステムやドライブレコーダー、ハイブリッド車なども常識になりつつあり、それだけで差異化しにくく、各社が何をPRしたらよいのか悩ましいところです。

 そこで、まだ日本のメーカーが完全にブランドを確立仕切れていない、電気自動車で勝負をしようというのが海外メーカーの戦略です。実際にそういった背景もあり、米国や中国などでは環境問題と併せて電気自動車を国が推進しています。税金の優遇や、電気自動車専用道路などを設け、充電ステーションが急速に増える傾向にあります。また、電気自動車の性能も、電池の性能向上と無線給電などの可能性が出てきたことで、ここ数年でさらに利便性の良いものへと進化するでしょう。

 もう1つ海外メーカーが活路を見いだしているのが、自動運転です。既にインターネットとつながってさまざまな情報をやりとりするコネクテッドカーへと進化しています。こうした状況を見ても、人工知能を動かすための高性能コンピューターとカメラを搭載するのは自然な流れといえます。

 人工知能による自動運転は、日本のメーカーにとっても未知の世界であると同時に、日本はソフトウエアに弱いと言われています。

 そこで、海外メーカーにとっては、「自動車の良しあしは、クルマの安全性や乗り心地で決まる」というものから、「自動車の良しあしは、自動運転の性能によって変わる」というふうにルールを書き換えると、もう一度同じスタートラインに立ってやり直せることになります。つまり、これまでの遅れを取り戻すだけではなく、逆転のチャンスが十分にあるわけです。これは、インドなどの新興国のメーカーにとっても同じです。