[画像のクリックで拡大表示]
伊本貴士=メディアスケッチ代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サイバー大学客員講師

 2018年7月に西日本を中心に記録的豪雨が襲い、甚大な被害をもたらしました。被害に遭われた地域の方々には心よりお見舞い申し上げます。

 正直に申し上げると、私も雨でこれほどの被害が出るとは想像していませんでした。ただ、異常な事態が発生していると感じたのは、NHKのアナウンサーが「大雨特別警報」を発表した際に「数十年に1度の猛烈な雨が降ります」「これまでに経験したことのないような雨が降ります」「地域によっては甚大な被害が出る恐れがあります」「可能な限り早めに避難をしてください」と報じているのを聞いた時でした。

 実際、その通りになりました。今の気象庁の予測というのは、かなり高度な技術を使い、確度の高いものだと思います。その分、自然災害において気象庁の発表は重要であり、警報などの注意喚起が出た場合はその内容をよく理解し、指示に従うべきだと改めて思いました。

 私のような技術者は、今後同じような被害を防ぐために技術でどう貢献できるかを考えなければなりません。今回のコラムでは、今後、人工知能などの新技術でどのように災害被害を防ぐことができるのかを考えてみましょう。

気象予報と人工知能

 気象予報と人工知能は非常に相性が良いと言えます。気象予報は過去のデータに基づいて予測を立てます。つまり、人工知能に必要な膨大なデータ(ビッグデータ)があり、そのビッグデータの分析によって予測を立てるためです。

 そこで、気象庁でも最新式のスーパーコンピューターを導入し、その結果、非常に正確な気象予報を立てています。人工知能を活用することができれば、人間では想像することが不可能なレベルの予測ができるようになります。例えば、ビッグデータからより細かい地域に対して正確な予報ができるようになるでしょう。また、人工知能ならもっと早い段階で避難警報を発することも可能かもしれません。

 実際に、2018年の2月に国土交通省で行われた交通政策審議会の第25回気象分科会において、資料に2030年の科学技術を見据えた気象業務のあり方」に関する課題として以下のような記述があります(参考資料)。

 「IoTやAI、スパコン等の急激な進展により、膨大なセンサからの(観測)情報の取得や、それらのビッグデータを用いた高度で複雑な分析を迅速に行うことが可能に」と記述されています。私の予想では、2030年ではなく、2020年には人工知能による気象予測は可能になると思います。

 気象業務に人工知能を取り入れると、より正確で、さまざまな観点からの気象予測を立てられる見込みがあります。その結果、災害による被害を最小限にする可能性が生まれるのです。気象業務に人工知能を取り入れることは、喫緊の最優先課題です。災害による被害額を考えれば、開発に税金を投入したとしても決してムダではありません。