人材不足を補う方法

 とはいえ、若い世代が減る一方の地域を復活させるのは簡単ではありません。何といっても、小さな自治体ほど人材不足が深刻です。その解決策として「教育」が挙げられます。しかし、ここでも注意しなければなりません。

 ある程度意欲のある企業が集まる都市で行う教育であれば、通常の社会人向けの教育で問題ありません。しかし、地方で社会人向けに通常のIoT教育を実施しても、参加者はほとんど集まりません。また、嫌々出席しても成長は難しい。そもそも、人材を育成する余裕がない企業が多い、ITのリテラシーが低い、まとまった時間が取れないなど、もう通常の教育ではどうにもならないほど疲弊していることが多いというのが現状です。

 その解決策として私が考えたのが、自治体が実施する公共の「ファブラボ」です。実際に、2017年度には石川県加賀市でファブラボの立ち上げを手伝いましたが、私にとってファブラボは地方における「最高の教育施設」です。ファブラボとは、3Dプリンターなどを置くものづくりスペースのこと。これを自治体が運営することで誰もが気軽に参加できるようになります。

最も重要なことは技術者のコミュニティーづくり

 ファブラボは、自治体職員から子供、企業の社長、大学の先生、一般市民まで、誰でも集まれることに大きな意味があります。魅力的なさまざまな企画を行うことで、従来の組織の枠を超えた新しいコミュニティーが出来ます。やがてそのコミュニティーの中でそれぞれが教え合うことで、自動的に教育が成り立つシステムが完成します。

 また士幌町のように、学生に学ぶ機会を提供すべきです。天才はどの地域にもいるものです。彼らに教育を提供する代わりに地域に貢献してもらうべきです。少子高齢化の激しい地方において、大人も子供も関係ありません。産学官民みんなで新たな地域文化をつくっていかなければなりません。

 実際にIoTのような領域は、学生の方が学ぶ意欲が高いと言えます。2017年度、私は加賀市の小学生向けに、ラジコンカーやLEDクリスマスツリー、LEGOマインドストームのロボットなどさまざまな教育を実施しました。アンケートの結果は、ほとんどが最高評価で大成功でした。これは、まさにこうした授業を子供たちが待ち望んでいたからに違いありません。

 そして、やがて彼らが教育を手伝うようになり、その結果、大人も一層の意欲をもって学んでいくという相乗効果が生まれます。うまくいけば、その中から新しいベンチャー企業が生まれ、地域を牽引していく存在になるかもしれません。これこそが、地方における唯一の解決策だと私は思っています。