IoT(Internet of Things)で地方創生は成り得るのか?──。これは、2017年度の私のテーマでした。そして、「現状では難しい」というのが、私が出した結論です。

 私は昨年度(2017年度)、地方版IoT推進ラボのメンターとして、誰よりも日本中を回ってさまざまな地方の現状を見てきたと自負しています。主な目的は、自治体や企業組織に対してIoT導入のアドバイスを行うことでした。

 その経験を踏まえて言うと、人口の少ない地方へ行くほど、企業よりも自治体がIoTに対して熱心だという特徴があります。それは、自治体が人口減少に伴って疲弊していく地域経済をよく理解しているからだと思います。自治体が率先して動くことは素晴らしいことです。しかし、その取り組みがうまく機能しているかというと、うまくいっている地域もありますが、多くはなかなかうまく進んでいないように感じます。

 その理由と、今後地方はどうあるべきかについて考えてみましょう。

うまく進んでいる地域の特徴

 IoTの導入がうまくいっている地域には、以下のような特徴があります。

[1]トップがIoTに意欲的である
[2]産学官民がうまく連携している
[3]長期的投資の目線で取り組んでいる

 当たり前に聞こえるかもしれませんが、実はこれらはなかなか難しい。IoTという新技術のリテラシーは、職位が上の人ほど乏しいという現実があるからです。

 IoT推進ラボが成功している有名な地域に、北海道・士幌町があります。人口はわずか6000人ほどの小さな町ですが、学校まで巻き込んでうまく連携し、町全体でIoTに取り組んでいます。IoTだけではありません。ジャガイモの加工工場の誘致など、さまざまな取り組みを意欲的に行っており、町全体の合理化を進めています(参考記事)。

 ただし、自治体だけの力でうまくいっているわけではありません。どの地域でも、うまくいっている所には「キーマン」が存在します。士幌町の場合は地域の学校の先生であり、福井県の場合は自治体職員です。また、中小企業の経営者や外部から招かれたメンターの場合もあります。こうしたキーマンの特徴は、自ら動き、結果を出すための具体案をいろいろと出す人です。このキーマンを生かせるかどうかが成功のポイントなのです。逆に、キーマンの動きを阻害する地域は、決してうまくいかないと言ってもよいでしょう。