日本企業に対する信頼が大きく揺らいでいます。2017年から品質不正問題が次々と露呈(ろてい)しています。品質データを偽装したり捏造したり、きちんとした検査をしていなかったり。これらが同じ時期に露呈したことに、私は意味があると考えています。恐らく、製造現場ではある時期から繰り返し同じことを「ごまかす」ことで、段々と罪悪感がなくなっていったのではしょう。そして、その「ごまかす」という行為の結果が表に出てきたのが今というわけです。

 そう考えると、今後もこうした品質不正問題の発覚は止まらないでしょう。「もの」は例外なく劣化します。ところが、そのメンテナンスが人手不足により十分にできなくなりつつあります。問題が発覚するだけならまだしも、その結果が重大事故につながる可能性があり、場合によっては人の命が奪われる危険性すらあります。まず、そのことを社会は重く認識しなければなりません。

データ改ざんの原因

 これまでのデータ改ざん事件を見てみると、原因は大きく3つあります。

[1]製造現場の人間に責任を押し付けるというマネジメントが、結果的にその場しのぎの文化を生み出し、その結果、データを改ざんするという行為に発展しています。この根本原因は、責任範囲の不明瞭さではないでしょうか。責任範囲が不明瞭であれば、仕事への誇りが失われ、無責任さが出てきます。

[2]同じ組織で同じ人たちが同じ担当をしてきたということで生まれた閉鎖的な組織文化というものも関係していると思います。外部有識者の意見を聞かない、外部によるチェックを受けない、若い人の言うことを聞く耳を持たない。これは本当に悪しき文化です。

[3]そして、性善説に基づいたデータ管理です。「入力されたデータは正しい」という考えが、最終的にデータの信頼性チェックという業務を消し去っています。データをダブルチェックするという考えがあれば、そのデータの信頼性を抜き打ちで別の方法によって確認するという発想が自然と生まれてくるはずです。これは、IoT(Internet of Things)技術の進化により簡単に実現できます。

 加えて、人間を介するから改ざんが生まれるのであって、センサーの値をそのままデータベースに保存するか、ブロックチェーンに書き込めば改ざんは難しくなります。人間が正しいという考え方は美しいと感じるかもしれません。しかし、これまでの歴史を振り返ると、良い結果をもたらしたことはありません。

IoTにより発生する新たな問題

 言うまでもなく、IoT技術の発達により、世の中にデータがあふれかえるようになるでしょう。そのときに、データが改ざんされるという問題が発生します。データを改ざんする犯人は外部の人間かもしれないし、内部の人間かもしれない。データが改ざんされると、品質をごまかすだけではなく、工場を大混乱に陥れることも可能です。また人工知能にでたらめなデータを入力することで、人工知能の精度を大きく下げることも不可能ではありません。

 少量のデータでも適切に管理しチェックしきれていないというのが、日本企業の現状です。今後ビッグデータを適切に管理することができるかどうかは、現在の日本を見ていると甚だ疑問です。