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 ロケット開発のスタートアップ企業であるインターステラテクノロジズ(本社北海道・大樹町)が第2回目の打ち上げに挑戦した。打ち上げ直後に落下炎上し、今回もメディアは「失敗」との表現で報じた。しかし、これは「開発のステップを歩んでいる」と捉えるべきである。

 この企業にとってロケットの打ち上げは、先のコラムで取り上げた「革新的な製品」そのものである。失敗から学び、知見を積み上げて最後は高度100kmに到達する、そのステップを踏んでいるはずだ。「革新的」「次世代」といった言葉で表現される新規性が高い製品の開発は、試作品で何度も不具合を修正し、これで大丈夫となって初めて市場に投入する。

 ところが、ロケットは試しに打ち上げてみようとはいかないところが難しい。かつて活躍したスペースシャトルの設計思想は、「保守的設計(Conservative Design)」や「実績のあるハード(Existing Hardware)」と言われた。問題のある所以外は変えない。つまり、「変化点」を少なくすることが設計の基本だった。これに対し、インターステラテクノロジズにとっては、ロケット開発の全てが変化点である。失敗から貴重な知見やノウハウを得ることで、「技術のブレークスルー」が起こる。それまで変化点であった技術が次第に実績となる。3回目の打ち上げの発表が待たれる。

 今回は技術のブレークスルーについて考えよう。

 前回のコラムでは、「世界No.1製品」を目指す「ダントツの性能」や「ダントツコスト」などの「目標項目設定の方針」を取り上げた。その実現には具体的な目標値の決定と、それを実現する技術のめど付けが伴わなければならない。つまり、技術のブレークスルーが必要となる。なぜなら、ダントツ目標値はレベルの高い商品仕様を満たすものだから、その目標値は、職場の基盤技術だけではすぐに対応できない技術課題、いわゆる「ネック技術」を持つからだ(注:商品仕様を踏まえたダントツ目標値の設定については別の機会に取り上げる)。

 従って、ネック技術をクリアしなければならない。そのためにはこれまでの取り組みの延長ではなく、1ランク、2ランク高い水準の取り組みが必要だ。技術のブレークスルーを要するのである。

 技術のブレークスルーとは、言い換えると「ダントツ目標値」と「実力」のギャップを成す要因(以下、阻害要因)を打破することだ。阻害要因の打破には、[1]限界目標値の算定→[2]阻害要因の抽出→[3]阻害要因の打破という3つのステップを踏む必要がある。さらに、その取り組み姿勢として(1)発想、(2)体制、(3)マインド、の3要素が大切だ。

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