西村 仁=ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント

 前回まで汎用材である炭素鋼について紹介しました。今回は合金鋼です。合金鋼は炭素鋼の成分にクロム(Cr)やニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)といった成分が加わったものです。そのため高価な材料になります。すなわち、特に理由もなく合金鋼を使うのは“宝の持ち腐れ”になってしまいます。では、まず合金鋼の代表品種であるステンレス鋼を見てみましょう。

 ステンレス鋼はキッチン台に使われるなど、身近な所でよく使われている材料です。炭素鋼にCrを12%以上添加した材料で、材料表面はごく薄いものの非常に硬いCrの酸化被膜で覆われています。この頑丈な被膜が保護膜の役割を果たしてさびを防ぎます。この被膜は非常に薄いので力が加わると実際には破れるのですが、計測不可能なほどの短時間で再生する優れものです。

 ステンレス鋼は種類が多く、それを説明するだけで1冊の本になるほどのボリュームがあります。簡単に全体像をつかむには、含有している成分によって3グループに分けて把握するのがお薦めです。「18-8系ステンレス」と「18Cr系ステンレス」、そして「13Cr系ステンレス」です。

 「18-8系ステンレス」は、Crがたっぷりと18%も入っていることに加えて、Niも8%入っています。「18Cr系ステンレス」はCrのみが18%、「13Cr系ステンレス」はCrが13%入ったものです。こうしてみると、「18-8系ステンレス」は高級品、「18Cr系捨ステンレス」は並品、「13Crステンレス」は低価格品であることが分かると思います。

 高級品である「18-8系ステンレス」の代表はSUS304です。ステンレス鋼の半分近くをこの品種が占めます。炭素鋼と同様に、このステンレス鋼も見た目では区別がつかないのですが、この「18-8系ステンレス」は磁石がくっつかない非磁性であることが大きな特徴です。一方で「18Cr系ステンレス」のSUS430や、「13Cr系ステンレス」のSUS440Cなどは磁性があるので磁石にくっつきます。ウィンドウショッピングなどで、ステンレス鋼で出来た包丁を見かけたら、どの成分グループなのかを見てみると面白いと思います。

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