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西村 仁=ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント
 

 ここまで数回にわたって材料の特性を紹介してきました。「機械的性質」と「物理的性質」、「化学的性質」の切り口で理解しておけば、数多くの種類の材料特性を読み取ることができます。とはいえ、多くの種類の材料がまんべんなく平均的に使われているわけではありません。よく使われるものとそうでないものとに分かれているのが実情です。今回は最も身近に使われている鉄鋼材料について、見ていきたいと思います。

 鉄鋼材料が他の材料よりもよく使われるのは、以下の理由が挙げられます。

[1]安価である
[2]さまざまな形状と寸法のバリエーションがそろっている
[3]納期が短い
[4]加工が容易

 鉄鋼の汎用材はkg当たりおよそ80円です。市販のミネラルウォーターよりも安いことに驚きます。日本の鉄鋼メーカーは品質だけではなく、製鉄所の省エネ技術も世界一です。鉄鋼を造るには膨大なエネルギーが必要となりますが、消費するエネルギーは欧米の製鉄所と比べて20%近く少ないそうです。加えて、造られた鉄鋼の3割近くがリサイクルされている“優等生”でもあります。そのため、鉄鋼メーカーには、原材料の鉄鉱石から造り出す高炉メーカーと、電気炉を使ってリサイクルする電炉メーカーがあります。

 鉄はオーストラリアやブラジルから輸入した鉄鉱石を溶かし、不純物を取り除いて、必要な成分を注入します。次に溶けた鉄を上下のローラーに挟み込む圧延加工によって必要な形状を造り出します。プラントで使用するような厚板は熱間圧延と呼ばれる高温状態で加工し、飲料缶に使われるような薄板は熱間圧延した材料を今度は常温で圧延する冷間圧延と呼ばれる加工で造ります。

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