西村 仁氏
ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント

 リンギングの原理も接着の原理もいまだに解明されていないことを前回のコラムで紹介しました。先日ラジオを聴いていたら、オリンピック種目で注目を浴びたカーリングでも、ストーン(石)の回転原理は物理学者にもお手上げとのこと。カーリングのストーンは、通常の物体とは曲がる方向が逆だそうです。例えば、ボーリングは反時計回りに回転をかけると右に曲がりますが、ストーンの場合には左に曲がります。この原理について昔からいろいろな説があるものの、結論には至っていません。こうしたことは、人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)の記事があふれる時代にとても不思議で、興味をひかれます。

 IoTと言えば、昨年(2017年)末からIoTやITに関するシンポジウムでコーディネーターや講演を行う機会が続いたのですが、気になることがありました。「IoT=ものがインターネットでつながる」との解釈からなのか、現場の生産設備にセンサーを取り付けて「リアルタイム」に設備の「稼働状況を把握したい」という経営者の声を幾つも聞いたことです。よく話を聞いてみると、「自分の工場が現在どれくらいの稼働率なのか、実は全く分からない。50%なのか、80%なのかも分からない。把握しようとしても、流す品種によって稼働状況が大きく変わるので、データの取得が難しい。そこで県からのIT補助金をうまく活用したい」といった声なのでした。

 これには、「うーん…」と考えさせられます。設備のあるべき姿は「動かしたいときに、止まることなく良品を生み出すこと」です。現状がこの姿ではないので、改善するために稼働状況を把握したいとのこと。しかし、設備にセンサーを取り付けることで得られる稼働データは、稼働した時間と設備トラブルで停止した時間の2つです。これらのデータからは、設備が稼働していないときの全体像をつかむことはできません。実際に設備が止まっているのは、設備トラブルよりも、投入する材料が不足していたり、段取り作業に多くの時間がかかっていたり、トライショットをしていたりする時間の方が圧倒的に多いのです。

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