「Quick DRは変更点と変化点に着目し、新設計に潜む問題を発見・解決する未然防止手法だ」。日産自動車元技術顧問で、Quick DRエキスパート講師の大島恵氏はこう話す。「日経 xTECHラーニング」で「開発者から学ぶ 不具合未然防止手法 Quick DR」(2019年12月13日)の講師を務める同氏に、Quick DR導入のメリットや使いこなすための注意点などを聞いた。(聞き手は高市清治)

日産自動車Quick DRエキスパート講師、日本科学技術連盟Quick DR コンソーシアム代表の大島恵氏
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不具合の未然防止手法である「Quick DR」が自動車業界以外でも導入されています。

大島氏:農業機械メーカーのクボタ、ハウスメーカーの積水化学工業や、ソニーなどでも採用されています。Quick DRは日産自動車が開発した不具合の未然防止手法ですが、後述する通り「設計の変更点/変化点に着目し、新設計に作り込んでしまった問題や不具合を効率よく見つけ出して解決する」という考え方は、自動車設計に限らず非常に広い分野で適用できる汎用性の高いものです。機械系の設計だけでなく材料や製造工程の変更、ソフトウエアの設計変更に適用する事例も増えています。

導入後の故障発生率が半分以下に

Quick DRがどのような手法なのか、説明してください。

大島氏:品質強化には、製品の開発設計で作り込んだ不具合を発見し、未然に防ぐ「未然防止」と、製品が市場に出た後に顕在化した不具合の新たな発生を防ぐ「再発防止」の2つがあります。再発防止のプロセスは、今回は詳述しませんが、主に故障率の低減や重大不具合の再発防止、品質ばらつき抑制などになります。

 未然防止では周知の通り、「デザインレビュー」(DR)を軸に取り組みます。全ての部品、全ての不具合についてレビューする「Full Process DR」を従来から実施していました。Full Process DR 有効ですが、全く新しい設計に対して未然防止する手法なので、相当の工数がかかり、新規性が高い設計での適用に限定されていました。そこで私たちはDRをもっと効率的に広く実施するために、新規性が高くない設計では設計の変更点/変化点を中心にレビューする「Quick DR」を考案しました。

 大部分の製品では通常、ゼロから設計する例はありません。自動車設計では、基準となる従来設計の一部を変更して、新製品の設計とするケースの方が圧倒的に多い。この「従来設計からの変更点/変化点」に着目し、その変更点/変化点に絞ってDRを実施する手法です。

 日産自動車ではQuick DRの導入後、不具合の発生は格段に減少しています。Quick DR導入後10年以上を経て、新車の販売後3カ月時点、12カ月時点で発生する品質上の不具合をモニターした品質指標で、Quick DR導入前に比べて故障の発生率が半分以下という結果が出ました。再発防止型の品質改善活動を併せた結果ですから単純比較はできませんが、Quick DR導入の効果を測る目安にはなるでしょう。

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