「人工知能(AI)は、「何か」を問うのではなく「どう使うか」を考える時代になってきた。視点を変えると身近な業務の効率化に活用できる」BRAIN SIGNAL 代表取締役社長 兼 CEOの米川孝宏氏はこう訴える。「日経 xTECHラーニング」で「業務効率化を成功させるためのAI技術活用術」の講師を務める同氏に、AIの活用方法を聞いた。(聞き手は高市清治)

BRAIN SIGNAL 代表取締役社長 兼 CEOの米川孝宏氏
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人工知能(AI)に関するコンサルタントを手掛けている中で、AIについて企業からどのような相談が多いでしょうか。

米川氏:大手企業から、「膨大な顧客の購買データを持っている。AIでなければできない分析をして活用したい」といった相談が多数寄せられます。

 相談してくる企業はこれまでもデータの分析はしてきています。しかし、AIを使うとこれまで以上の知見を得られる分析が可能になり、大きな成果につながるという期待があります。

 AIは一般紙が取り上げるほどメジャーな存在にはなりました。その一方でAIの用途、何ができるのかを具体的にはイメージできていない企業がほとんどなのです。

 得てしてAIはマーケティングや品質検査といったスケールの大きな用途をイメージしがちですが、実は人事や総務や日報作成といった身近な業務でも威力を発揮します。この機会に視点を変えて、AIによる業務効率化を考えてみてほしいと思います。

AIだからこそできることとは、どのようなものでしょうか。

米川氏:AIが得意とする作業は一般に大きく4つに分けられます。「分類」と「回帰(予測)」、「異常検知」、そして「クラスタリング」です。

 例えば、写した映像データの被写体が犬なのか猫なのかを仕分けるのが「分類」です。天気の変化のデータを読み取って、その日に何が売れそうかを予測するのが「回帰」。防犯カメラに映った映像データから挙動不審な人を見つけたり、大量の製品の映像データから正常な状態ではないものを見つけたりしてシグナルを出す「異常検知」。そして、膨大なデータから類似性を見出して自動的に分類する「クラスタリング」。AIの機能はだいたいこれらの4つです。

 基本は、「人間がチェックしたり、分析したりするのが困難なほど膨大なデータを高速に、効率的に処理できる」点でしょう。こう説明すると、「従来のコンピューターでも大量のデータ処理自体はできた。どこが違うのか分からない」という人もいます。違いは、コンピューターと異なり、AIは機械学習できる点です。計算を何度も繰り返して大量のデータに潜むパターンを見つけ出せる。この点でAIは、従来のコンピューターではで難しいレベルでの「予測」や「異常検知」などが可能になったのです。

 しかも、AIを使うのに巨大なコンピューターや巨額の予算が必要なくなりました。クラウドコンピューティングの発展で、企業や個人が普通に使っているパソコンでも、AIによる分析を活用できる環境が整備されています。その結果、AIへの投資が活発になり、さらにAIが発展し、企業によるAI活用が進むという好循環が生まれています。

 AIの進歩は著しく、現在では創作のようなことさえできます。ただし、「人間が一定の枠を作れば」という条件付きです。枠を決めさえすれば、計算のパラメーターを変えて、スタイルやデザインを学習し、人間の素人が作るよりもレベルの高い絵画や音楽を作れる段階まで来ています。

 とはいえ、AIが人間を超えるというイメージを私は持っていません。人間が一定の枠を決めなくてはそもそも創作できないのですから、AIはあくまで人間の道具に過ぎないと分かるはずです。

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