:そういう場所はありますね。我々はそれをイミュニティ試験と言っています。

F:なんか世界征服を企む恐ろしい秘密結社みたいですね。

マイトのY:それはイルミナティ! 真面目にやってください!

F:分かってるって(笑)。イミューン(immune)。本来は免疫とか免除とかいう意味ですね。

:はい。「影響を受けない」という意味もあります。

 自動車のテストと言うと操安ばかりに目が行くが、このように実に様々なフィールドで、気が遠くなるほどの実験が繰り返されているのだ。

F:具体的にはどうするのですか。発生源や受動部をなるたけシールドするということですか。

:そうですね。出す方も受ける方も、基本はシールドすることが一番効果的ですね。ただ、単純にシールドしちゃうと、どんどんコストが高くなってしまいます。それと同時に重量も増えてしまいます。電波は防いだけれども高くなって重くなりました、じゃ通らないので、効果的なやり方を考えなければいけません。ガバっと大きく囲うべきなのか、はたまた回路に入ってくる部分のインピーダンスを上げてやって、ノイズが入ってこないようにするのか、出ないようにするのかとか。

F:なるほど。回路設計で防ぐという手もある。

「え? という部分は?」「ないです」

:はい。この辺はいろいろとノウハウがあって、受ける電波の大きさとか出す電波の大きさによって方法を変えてやっていました。でもこの電波周辺って、車両企画においては決して根幹ではなくて……何というか、本当にスミッコの方で黒子的に立ち回る仕事だったんですよ。

F:旭さんがトヨタに入社された91年だと、クルマの世界で電波というのは確かにスミッコだったのかもしれません。でも今となっては重みが違いますよね。EMS対応は超重要。車内通信の無線化だって、どんどん進んで行くはずですよね。様々な通信が、どんどんワイヤレスになっていく。余談ですけど、どんなに技術が進んでも、ブレーキはワイヤレスにはしないかな。どうなんですかね?

:ブレーキね。どうなんでしょう。

F:今でもやろうと思えばできますか?

:それはもう、機能的には楽勝でできます。でもさっきのフェルさんの埼玉の電波塔の話みたいな、いわゆる想定外の電波に対しては、まだちょっと保証しかねる部分があるじゃないですか。そこをしっかり押さえない限りは、なかなか難しい部分だと思います。電波塔の近くは危ないから走らないでください、とは僕ら言えないんで(笑)。

F:確かに(笑)。でも流れとしてはどんどん電波の方向に行っていますよね。すべてのクルマが。

:そうですね。例えばテスラさんがやっているみたいに、車両のソフトのバージョンアップを電波を使って行うのが実現したりはしています。これからはそういった方法が主流になる可能性はあると思っています。

F:新しいLSで、「え?」という部分を電波でやっているところはあるのですか?

:ないです(きっぱり)。

F:きっぱりおっしゃいますね。全部電線ですか。