電子機器や車載機器の開発、特に高性能化や信頼性向上において、熱設計は必須の技術である。しかし、構造や材料、発熱源など様々な要因が複雑に絡まり合うので、難しい技術でもある。どうすれば上手に熱設計できるのか。熱設計の専門家であるサーマルデザインラボ 代表取締役の国峯尚樹氏にポイントを聞いた。

サーマルデザインラボの国峯尚樹氏

熱設計を論理的に行うためのポイントは。

国峯氏:熱設計には論理的に対策を導くための方法があります。そのためのキーとなるのが熱抵抗(K/W)です。

 熱設計の要件は、許容温度、使用温度、発熱量です。例えば、ある部品について、「40℃の使用温度環境下で10W発熱しても100℃を超えないように設計する」のが熱設計です。この要件をまとめると、命題は「熱抵抗=(許容温度-使用温度)/発熱量を6(K/W)以下にすること」となります。6K/Wの目標が与えられると、そこから表面積や熱伝達率といった放熱に必要なパラメーターを求められます。

 実際の製品では部品の数だけ熱抵抗が出てくるためもっと複雑ですが、この作業をブレークダウンすることで論理的な熱設計が実現できます。このように熱設計にはフローがあります。これを踏まえて、熱設計の手順を理解することがとても重要です。

なぜ、熱設計の手順を理解することが重要なのですか。

国峯氏:手順を理解してはじめて、熱設計を「実行」できるようになるからです。熱設計の手順の理解が最も重要なポイントと言っていいでしょう。

 熱設計には「外してはいけない基本ルール」や「知っておくべき常套手段」があります。しかし、これらだけでは熱設計を行うには不十分です。熱設計にはプロセスがあるからです。具体的には、機器の熱指標評価から目標熱抵抗算出、筐体放熱ルート設計、各部品の危険度評価と対策仕分け、検証計算、熱解析などの一連の流れがあります。

 断片的な設計のポイントだけではなく、それらのつながりである熱設計のプロセスを理解し、設計手順を身に付けることが大切です。

熱設計の理解が特に重要となる技術者は。

国峯氏:日本の企業には「熱設計者」という位置付けの技術者はいませんが、実装技術者、回路設計者、基板設計者、機構設計者が、熱設計者の役割を担っています。これらの技術者が製品設計を進めていく上で、熱設計の理解はとても重要です。