産業機器、電気自動車(EV)、ロボットなど、モーターを使った製品の市場が伸びている。こうした製品では、モーターのデジタル制御のスキルがないと、性能や品質を確保することが難しい。こうしたモーター制御のキーポイントについて、富士電機 パワエレシステム事業本部 開発統括部 統括部長の松本康氏に聞いた。(聞き手は、田中直樹)

モーターの応用市場が成長しています。

松本氏:中国を中心とした堅調な経済状況を反映して、サーボモーターや工作機械などの市場が伸びています。また、電気自動車もエネルギー・環境問題に後押しされて普及が加速しています。

モーター制御技術の最近のトレンドは。

松本氏:サーボモーターや工作機械では、精細な加工精度をさらに高めるために、また生産性をより高めるために、軌跡を含めた位置決め精度や応答速度の向上が図られています。これらを実現するために、センサーやモーターの性能を高めて、デジタル制御の理論限界に迫る。このような取り組みが進んでいます。また、電気自動車分野では、高効率化や低トルク脈動駆動の開発が盛んになっています。

モーター制御の高度化、産業用モーター駆動でのデジタル制御について、今後のニーズに対応するには何が必要か、教えてください。

松本氏:サーボモーターや工作機械では、高精度の位置決めと高応答が求められます。また、電気自動車など輸送分野では、高効率化と低トルク脈動が要求されます。こうしたニーズの動向に変わりはないと思います。

 いずれも、モーター制御理論やデジタル制御の基礎・応用を理解することは言うまでもありません。さらに、制御の対象となるモーターのメカニズムや、モーターを動かすために必要なインバーター動作についての知識も習得しないと、高まるニーズに応える高度なモーター駆動を実現できないでしょう。

モーター駆動、デジタル制御を身に付ける上でのポイントは。

松本氏:私自身も種々の産業用モーター駆動の要素技術研究と製品開発に従事してきましたが、技術課題は製品ごとに異なることが多かったですし、製品仕様や開発仕様も異なることが多いです。一言でモーター駆動と言っても詳細は多岐にわたっており、細部に至るまでのオールマイティーな解は存在しません。オールマイティーな解は存在しませんが、すべての課題を解決するための知識やノウハウは存在すると考えています。

 そこで、例えば6月26日に開催する技術者塾「モータ制御高度化の連続系理論と適切にデジタル化へ展開する手法」では、セミナーを受講される方が自分で課題を解決するために必要なモーター駆動やデジタル制御に関する知識と、モーター・インバーターなどの関連する技術を習得していただくことに力点を置いて解説します。自らの製品開発の実務で役立ったデジタル制御のポイントや苦労した点など、市販の教科書、専門書では読み切れない内容の説明に時間を多く取るようにしたいと考えています。

 モーター制御の基礎、デジタル制御の基礎と実践について、開発者として注意すべき項目を前回のセミナー(2017年6月30日開催)よりも時間をかけて詳解する予定です。

セミナーは、どのような方々に向けたものですか?

松本氏:これまでにモーターのデジタル制御に従事された経験があり、これからより高度な製品開発に取り組まれる技術者で、自ら課題を解決するために必要な知識やノウハウを習得されたい方にご参加いただきたいと考えています。

今回のセミナーを受講することで、受講者はどのようなスキルを身に付けたりできるのでしょうか。

松本氏:セミナーを受講される方が自分で課題を解決するために必要なモーター駆動・デジタル制御に関する原理から実践までの要点と、モーター・インバータなどの関連する技術を身に付けていただけます。