触覚の技術開発動向で注目すべきことは。

 上述の靴にセンサーやアクチェーターを内蔵した富士通の例を見ても、触覚の最近の捉え方は、単なる指先の感覚ではなく、身体の感覚として注目されているように感じています。触覚は全身に広がっていますので、様々な部位でセンシングや触覚提示、そしてその活用の可能性があります。

 研究領域でも、第3、第4の手を身体に付け、自身の身体を拡張する試みや、触覚を伴うモノや環境とのインタラクション技術に関する研究などが活発になっています。単なるセンシングや触覚提示だけでなく、身体と関わる触覚技術であり、その触覚技術をどのような目的に対して使うか、また、その効果に、視点が向けられ始めていると思います。我々の身体認識に触覚が重要であることも知られていますが、これを活用して、遠隔操作ロボットの身体化を狙ったり、リハビリテーションに活用したりする研究もあります。

 一方、触覚による効果も十分には分かっていません。従って、プロトタピングが重要です。その効果をいち早く見つけたり仮説を立てたりして、検証と設計論を構築していくことが必要になると考えています。

先生は「触感のデザイン」を提唱されています。

 手触りや操作感などの触感のデザインは、依然として注目されています。従来の多変量解析を用いた予測モデルに加え、人の触知覚メカニズムの理解が新たな設計方法を与えてくれる可能性があります。

 触感のデザインは、製品に付加価値や品質の向上を与えるでしょう。特に、私は最近、触感のデザインについて、単に心地よいものを作るではなく、そこからブレイクダウンして、各社独自の心地よい触感のデザインが生まれることがブランドにつながると考えています。触感も製品ブランドの1つとなり得るのではないかと思います。これは私の期待かもしれませんが、触覚技術の進化や触知覚メカニズムの理解が、そのような流れを今後ますます後押しするでしょう。

 2017年10月開催のセミナーで触感や触覚について解説しましたが、今回(2018年5月開催のセミナー)は、それ以降の触覚テクノロジーに関する動向や新しい知見について触れて、技術展開について考察したいと思います。特に、単なる触覚の計測や提示、変調技術ではなく、それら触覚の情報化や体験を通じた応用や価値創出の可能性について触れたいと思います。また、触感のデザインを少し多めに扱いたいと考えています。

 「触覚を生かした製品開発に興味をお持ちの方、既に検討されている方」「運動や触覚を含め感覚全般に興味のある方」「触覚について基礎から勉強したい方、応用事例を知りたい方」に、ぜひ参加していただきたいと考えています。